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達人、辰人2024 (4) 8カ国語習得 石巻商高3年・佐藤美奈さん

言語習得、こつは赤ちゃん

英語教諭(手前)と英語を使って楽しく会話する佐藤さん

 英語を話し、聞けるようになるのすら苦労する人も多いのに、8カ国語も話す高校生が石巻市にいる。言語習得のこつはなんと「赤ちゃん」だという。

 英語やドイツ語、ロシア語などを巧みに操るのは石巻商高3年の佐藤美奈さん(18)。イタリアで生まれた後、日本に住む両親の「国際人としての感覚を身に付けさせたい」という思いを受け海外生活を続けた。ロシアやスペイン、中国などにいる親類の下で約10年間生活。小学5年のころ日本に戻り石巻市で暮らす。海外にいる間、各国のネーティブな発音から筆記までをマスターした。

 「言葉を覚える時は赤ちゃんをイメージする」。ゼロから少しずつ言葉を覚えていく幼児のように、話せそうなフレーズから挑戦していく。ネーティブの発音を聞き、あいさつや聞きなじみのある言葉を会話に取り入れる。その後はひたすら実践を繰り返し、話せる単語を増やしていく。

 練習相手がいないときは「独り言」を活用する。考えていることを頭の中で正しい文に直し、声に出す。日本では日本語の練習時に取り入れ「ご飯を食べた後は勉強しよう」などと口に出してから行動した。効果は抜群だったがその半面「いつでもどこでも独り言を言う癖が1年くらい抜けなかった。大きな“副作用”も伴う」と笑う。

 言語を勉強する際は、その言葉を使う国の文化も一緒に学ぶ。各国で異なる文化は面白く興味を引く一方で、国が違えば歴史的背景や解釈も違う。「気を利かせた一言や行動が意図せず、悪気があるように伝わってしまうことがある」と佐藤さん。言語の違いだけでなく生活様式や国民性を理解し、尊重しながら話すことが大切だという。

 新しいことを始める時は壁にも直面する。佐藤さんも日本語を話し始めた時は片言を笑われたことがあった。「間違っているのかな、伝わっていないのかな」と不安になったが「間違いは直し、分からないことは教えてくれる」と知りどんどん話しかけていった。

 卒業後は関西の大学に進学。国際学部でさらに詳しく言語を探究し、留学で知見を広める予定だ。将来は語学力を生かした航空機のキャビンアテンダントか、外交官を目指している。
(相沢春花)

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