母校で語り部デビュー 高橋さん、北上中生に体験話す 震災遺構・門脇小
東日本大震災当時、石巻市門脇小1年生だった宮城教育大2年の高橋輝良々(きらら)さん(20)=石巻市=が語り部としてデビューした。社会科の授業の一環で市震災遺構「門脇小」を訪れた市北上中の2年生14人を前に「命の尊さ、命を守ることの大切さを家族に伝えてほしい」と語りかけた。
高橋さんは震災の時、帰宅途中に強い揺れが続き、校庭に戻った。「行動が遅れていたら、私はここにいなかった。3~6年生と一緒に避難した日和山では、6年生がブルーシートをかぶせ、寒さから守ってくれたり『大丈夫』と声をかけてくれたり、優しさに救われた」
震災遺構として保存された母校を初めて見た時について「色がないな」。「茶色の面影が多いが、頭の中は一緒にいた友達や先生の顔が鮮明になり、声も聞こえてきた。5年生の時に閉校し、石巻小を卒業した」
高橋さんは小学校の先生になる夢を共有していた学友を震災で失った。彼女からもらった鉛筆、渡そうと思っていた「ありがとうカード」を生徒たちに示し、思いを語った。「あの日、大切な友人の命が奪われた。命を守れる教員、防災教育に強い教員になりたい」
地震、津波という不測の事態に備え「命を守るために何が必要か、感じて考えてほしい」と期待した。
男子生徒は「話を聞いてみんなで感じた思いを大切にしたい」、女子生徒は「あの時、どれほど大変だったかが分かった」と、それぞれ感想を述べた。語り部の話を聞く授業は昨年12月5日にあった。
高橋さんは宮教大で被災地の話を聞いて震災を自主的に学ぶ「3.11ゼミ」に所属する。2023年夏、震災当時、門脇小校長だった鈴木洋子さんと再会した。この日は鈴木さんも高橋さんの話に耳を傾け、生徒たちに「輝良々さんから聞いた話を心にとどめ、防災について考えてほしい」と話した。
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