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女川原発2号機再稼働、さらに延期 安全対策箇所が増加 東北電発表

安全対策工事の完了時期変更を説明する大平所長代理(左)ら

 東北電力は10日、5月ごろを予定していた女川原発2号機(女川町、石巻市)の再稼働を延期すると発表した。2月を目指していた安全対策工事の完了時期が数カ月程度遅れる見込みになったためとしている。具体的な時期は見通しが付き次第、公表する方針。再稼働の延期は昨年9月に続き7回目。

 東北電によると、安全対策工事で進める電線(ケーブル)管の火災防護対策で、工事が必要な箇所が当初計画より増えたため、完了時期を見直した。

 火災防護対策は発電所内で火災が発生した場合に電線管が損傷しないよう、周囲を耐火材で覆う工事。工事完了に向けた確認作業や現場状況に応じた電線管のルート変更に伴い、対象が42カ所の計300メートルから52カ所の計430メートルに増加。この結果、必要に応じて施す耐震補強も工事箇所が増えた。

 石巻市役所で記者会見した女川原発の大平一樹所長代理は「安全対策工事の完了時期は数カ月程度の遅れを見込んでいるが、精査が終了次第、速やかにお知らせする」と説明した。

 東北電は同日、立地自治体の県、女川町、石巻市と、原発30キロ圏内の東松島市など5市町に延期を報告した。

 東日本大震災で被災した2号機は2013年12月、再稼働に向けた審査を原子力規制委員会に申請。20年2月に基本設計を示した「原子炉設置変更」に合格した。昨年9月、安全対策工事で火災防護対策を追加実施するとして、再稼働時期を従前の今年2月から5月ごろに見直していた。

<3市町首長コメント>

 東北電力の工期見直し発表を受け、石巻地方3市町の首長はそれぞれコメントを出した。

 女川町の須田善明町長は「工期に縛られず安全対策を最優先とし、最新の知見や技術を収集するといった安全性の向上、住民への分かりやすい情報提供を求めてきた。今後も国、県などと連携し、現地工事の状況などの確認を継続していく」と所見を発表した。

 石巻市の斎藤正美市長は「安全対策工事の着実な実施はもとより、工期ありきでなく従業員の安全を優先した取り組みを進めるよう求めてきた。今後も女川原発の安全性向上と、地域住民に対する説明責任を果たしていくよう求めていく」とコメントした。

 東松島市の渥美巌市長は「女川原発の再稼働は安全が第一であり、安全対策工事の遅れによる再稼働延期はやむを得ないと認識している。東北電には引き続き万全な安全対策を講じていただきたい」とした。

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