いしのまき食探見 > 仙台牛 豊かな自然、うま味育む
海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。
仙台牛
美しく輝く霜降り肉。宮城が誇るブランド牛「仙台牛」の基準は日本一厳しいとされ、黒毛和牛の中でも赤身と脂のバランスやきめ細かさなどが優れた、A5、B5ランク品のみが名乗ることを許される。
ブランドをけん引した基幹種雄牛「茂洋(しげひろ)」を石巻市桃生地区から輩出するなど、石巻地方は良質な黒毛和牛の産地として定評がある。肉質を競う品評会で日本一に輝くなど入賞を重ねる川村ファーム(石巻市前谷地)の3代目川村大樹さん(43)は「四季がはっきりした風土で、米どころゆえに良質な稲わらもある。石巻は牛を育てるのに最適な環境だ」と胸を張る。
川村ファームは市内外5カ所で約900頭を飼育。音楽が流れる牛舎で、各部屋1、2頭ずつゆったりと収容するなど牛がストレスなく過ごせる環境づくりを徹底する。誕生から2年5カ月ほどで出荷する肥育農家が多い中、さらに2、3カ月かけて肉質を上げるのもこだわりだ。
川村さんは「仙台牛の価値を底上げし、盛り上げたい」と意欲を燃やす。
市内には仙台牛を扱う飲食店や精肉店も多い。仙台牛メインの焼き肉店「牛仁」を展開する「華音」(同市茜平1丁目)の千葉淳常務(55)は「口に入れた瞬間から豊かなうま味が感じられ、しっかりした食感も楽しめる」とほれ込む。
シンプルな調理法で味わうのがお勧めだ。おいしさを追求する生産者の思いも一緒にかみしめたい。(奥山優紀)
<メモ>
いしのまき農協の肉牛部会には石巻市河南や桃生、河北、東松島市鳴瀬の各地区の肥育農家19軒が所属。繁殖牛部会は96軒で構成する。石巻産和牛の価値と知名度の向上に向け、管内の生産者が連携し、子牛の繁殖から肥育まで手がける体制づくりに力を入れている。
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