宿泊税、県が議論再開 県石巻合同庁舎で会合 観光事業者「制度設計見直しを」
県は観光振興の財源とする宿泊税の導入について、新型コロナウイルス感染拡大で中断していた議論を再開させた。観光施策を官民で考える「みやぎ観光振興会議石巻圏域会議」の会合を11日、石巻市あゆみ野5丁目の県石巻合同庁舎で開き、導入に向けた考え方を説明。出席した石巻地方の観光事業者からは制度設計の変更を求める声などが上がった。
宿泊税はホテルや旅館などの宿泊者に課す。県は2020年の県議会2月定例会に導入に向けた議案を提出したが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて撤回した。当時は3000円以上で1人1泊300円を徴収する制度設計だった。
昨年5月の新型コロナの5類移行などを受け、村井嘉浩知事は県議会12月定例会で「必要性への思いは一向に変わっていない」と導入に向けた議論再開に前向きな考えを示していた。
石巻圏域会議の会合で、県観光政策課の担当者は、宿泊税は全額を基金に積み立て、観光施策にのみ充当することなどを強調。「ポストコロナの地域間競争力を高めるための仕掛けづくりを実施するには、相応の財源が必要だ」と説明した。
石巻地方の宿泊事業者らは20年の前回検討時、東日本大震災で被災し、観光分野の復興が遅れているなどとして導入に強く反発した。
会合の出席者は「コロナで減った旅行者が急速に回復し、全国の地域間競争になっている。新たな収入方法の獲得が必要だという論理は今は理解している」と受け止めた一方、「問題は使い方。地域がアイデアを出し、地域が納得して使っていく形が確立できればいい」と求めた。
別の出席者は「宿泊費を削ろうとしている旅行者に300円は大きい」と主張。「金額によって税額を変えるなどしなければ、他県との競争の足かせになる」と訴えた。幼児や小学生を徴収対象外とする設計変更の提案もあった。
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