閉じる

いしのまき食探見 > こうじ 料理引き立て、健康促進

生こうじの製造現場。手際よく温度を下げた蒸米にこうじ菌を付けていく=石巻市旭町
島津麹店の多彩な発酵食品。右下は生こうじ

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

こうじ

 健康志向の高まりに伴い、発酵食品のこうじが注目されている。こうじは酵素やビタミン類が豊富で、さまざまな健康効果があるという。

 石巻市蛇田で料理教室「おかめのえくぼ」を主宰する、こうじ料理研究家の遠山由佳理さんは「こうじに含まれる酵素は消化や吸収、代謝を助け、こうじ調味料を使った料理はおいしくなる」と言う。

 遠山さんは米こうじを購入し、塩と季節の食材、水を加えて発酵させたこうじ調味料(ユズ塩こうじなど)を作る。ユズ塩こうじを入れたパスタはお薦めだ。

 こうじ調味料の活用として(1)肉を漬ける(2)漬物(3)炒め物に使う(4)ドレッシングを作る-を挙げる。「肉をこうじ調味料に漬けると軟らかくなり、タンパク質がアミノ酸に変わってうまみが上がる」

 遠山さんは「こうじの健康効果は抜群で、腸を整え、便秘も解消される。健康に良く、おいしさを引き立てるこうじ調味料を使った料理を広めたい」と話す。

 石巻地方唯一の糀(こうじ)製造所で、石巻市旭町にある1909(明治42)年創業の島津麹(こうじ)店を訪ねた。

 県産ササニシキ1等米を100%使った生こうじ作りが盛んで、6代目の佐藤光弘さん(38)に話を聞いた。蒸米を放冷台に乗せて温度を下げ、こうじ菌を振り、米に菌を付けて発酵機で2~3日寝かせて完成するという。

 原料へのこだわりはササニシキの米文化を守り、後味がすっきりした発酵食品を目指す思いからだ。

 酵素や栄養素を残すために60度以下の低温加熱製法で「華糀」など5種の生甘酒を作り販売。牛乳・豆乳で割る、ヨーグルトにかけるなど食べ方も提案する。

 生甘酒を使ってエナジードリンク系の小型タイプの新商品を開発中だ。

 佐藤さんは「時代に合わせた価値ある健康をサポートしたい。商品の海外販売にも力を入れていく」と語り、日本の発酵文化の発信も視野に入れる。
(浜尾幸朗)

<メモ>
 島津麹店は生甘酒を使って石巻市内の菓子店、風月堂とのコラボ商品「Zunda華糀Shake」(600円)なども販売する。生こうじや生甘酒、シェイクは「グリーンサムいちば」(石巻市恵み野6丁目)でも購入できる。連絡先は0225(22)1708。遠山さんは、こうじ調味料を使った料理教室を開いている。連絡先は090(7529)5695。

関連リンク

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告などについては、こちらのサイトをご覧ください ≫

ライブカメラ