学校安全へ SPS認証校の石巻・住吉中、活動充実 地域の危険箇所をマップに
石巻市住吉中(生徒207人)が、学校の安全を「生活」「災害」「交通」の3分野で推進する「セーフティプロモーションスクール(SPS)」の認証校として、活動を充実させている。不審者対策や地震・津波訓練、情報モラル教室、地域の危険箇所の情報発信など多彩。安心安全な学校・地域に向けて、生徒の意識は高まっている。
同校は2017年度から3年間、災害安全でSPSの認証を受けた。その後生活安全で再認証され、近く再々認証が予定される交通安全を含め3分野を網羅した取り組みを展開している。
23年度は不審者対策から校門を閉め、来客には校舎に入る際は職員玄関でインターホンを押してもらう導線を確保した。不審者対応訓練を実施し、職員がナイフを持った暴漢に扮(ふん)した石巻署員にさすまたで対抗した。
地震・津波訓練では「地震発生後、即津波が来る」という想定で、校庭への避難をカットし、校舎4階への垂直避難をした。揺れが強い場合、地震発生から直ちに津波が襲来する可能性は大きいため、近くに高台がない住吉中の立地を踏まえた訓練。24年度は能登半島地震の教訓を取り入れ、命を守る緊急時の避難行動を確認する。
緊急地震速報訓練では、余震が何度も来て2次避難ができず、けが人が出ている想定で、生徒が優先順位を付けてけが人に対応した。市総合防災訓練(昨年11月5日)に合わせて実施された地域の自主防災訓練に生徒が参加し、炊き出しなどをした。事前に各地区の行政区長と顔合わせをして役割を確認し、顔の見える関係をつくった。
応急手当てと心肺蘇生法の講習会を開き、生徒が自動体外式除細動器(AED)の操作や人形を利用した心臓マッサージの実技に取り組み、救命スキルを身に付けた。
情報モラル教室では、1~3年生がSNSによるトラブルに巻き込まれるのを未然に防ぐための手だてを学んだ。1年生が地域の危険箇所を調べて防災マップを作成し、学校のホームページ上で昨年12月から公開している。
扇谷正輝主幹教諭は「SPSの活動を通じて、安心安全な学校と地域をつくる人材を育成していきたい」と話した。
SPSは地域や家庭と連携した安全な教育環境を整えた学校を認証する取り組みで、日本SPS協議会が認証する。01年に児童8人が犠牲になった大阪教育大付属池田小殺傷事件を教訓として14年に始まった。東日本大震災の被災地での認証は、震災の風化を防ぎ、次世代につなげる役割も担う。
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