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石巻市内にアライグマ 石巻専修大・辻准教授が調査 食害や在来種への悪影響、危惧

アライグマの侵入による石巻地方への影響を懸念する辻准教授
石巻専修大が所蔵するアライグマの骨格標本

 三陸沿岸道の石巻港-石巻河南インターチェンジ間で昨年12月、車にひかれたと見られるアライグマの死体が発見された。石巻市内で発生する野生動物の交通事故(ロードキル)を調査する石巻専修大生物科学科の辻大和准教授(46)は「アライグマの確認は初めて。農作物の被害や生態系の影響が危惧される」と警鐘を鳴らす。

 死体は、回収した南三陸沿岸国道事務所の三陸道維持出張所から連絡を受けて辻准教授が確認し、アライグマだと断定した。体重約10キロで、雄の成獣と見られる。

 同大は2020年から、市内の国道、県道、市道で起きるロードキルの研究を進めている。年間約1000頭が確認されるが、アライグマは今回が初めて。三陸沿岸道周辺ではタヌキ、市街地はネコ、牡鹿地区はシカが多いという。

■輸入や飼育、禁止

 アライグマは北米原産。アニメ「あらいぐまラスカル」で人気を集めるなどし、ペットとして日本に持ち込まれた。気性の荒さから逃げ出したり、捨てられたりして野生化し、全国各地に分布を広げている。現在は生態系を脅かす特定外来生物に指定され、輸入や飼育は禁止されている。

 18年の環境省の調査では、アライグマの分布は県内では仙台市周辺に限られ、県北での集団的な分布はなかった。県東部地方振興事務所、石巻、東松島両市、女川町、いしのまき農協によると、各管内では今年1月現在、アライグマの目撃や農作物被害は報告されていない。

■感染症の媒介も

 アライグマは雑食で、小さな哺乳類や魚、両生類、爬虫(はちゅう)類、昆虫のほか、野菜や果実、穀物なども食べる。農作物被害だけでなく、人畜共通の感染症や狂犬病、寄生虫などを媒介する危険性もある。民家の屋根裏などに巣を作り、ふん尿や臭いの被害が生じることもある。

 タヌキと似ているが、体長はより大きい。尻尾が太くて黒いしま模様があり、5本指なのが特徴。近寄るとかみつかれたり、ひっかかれたりする恐れがある。

 辻准教授は「1個体が見つかったということは、既に石巻地方に入り込んでいると考えていい。原産国では水辺近くに生息するため、田んぼや河川などで貝や魚を食べているかもしれない。市街地で生ごみをあさることもある」と話す。

 石巻市よりも北部に分布が拡大した場合、ガン類などの越冬地として有名な伊豆沼・内沼(栗原市、登米市)などでの鳥類、在来魚への食害も懸念されるという。

 辻准教授はアライグマを見かけた場合の情報提供を呼びかけている。連絡先は同大事務課0225(22)7717。

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