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すす塗り合い、一年の幸願う 奇祭「アンバサン」に歓声 石巻・長面地区

すすを塗った大根を顔にこすり付け合う参加者たち

 石巻市長面地区に300年以上前から伝わる市指定無形民俗文化財の奇祭「アンバサン」が11日、地区内の北野神社末社の大杉神社であり、参加者は今年一年の無病息災や五穀豊穣(ほうじょう)を願った。

 東日本大震災で被災し、移転を余儀なくされた元住民や氏子ら約20人が参加。高橋範英宮司(73)は玉串をささげた参加者の額に、すすを塗った輪切りの大根を擦り付けた。参加者同士でもすすを付け合い、顔や頭を真っ黒にしていた。

 高台にある神社から長面地区の集落跡に向かって悪魔を払う言葉を唱え「大漁大漁大漁ダー」「満作満作満作ダー」などと元気な声を響かせた。

 長面出身で毎年参加している同市二子3丁目の三條すみゑさん(65)は「毎年変わる風景を見ながら、長面を思い出している。御利益があり、いい方向に進んでいる」と笑顔で語った。

 高橋宮司は「復興は進んでいるが、心が通い合える場所が必要。元住民以外にも多くの人に参加してもらいたい」と話した。

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