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来訪者の視点から避難学ぶ 石巻・南浜周辺で誘導訓練 災害発生時の課題、共有

さまざまな状況に対応しながら高台への避難を実践した訓練
ハザードマップを確認する参加者

 石巻市の石巻南浜津波復興祈念公園と周辺地区で11日、災害発生時の避難誘導訓練があった。公園や施設の運営に携わる職員や地元町内会の会員ら60人が割り振られた役割を実践し、課題や改善点を共有した。

 訓練は同市の公益社団法人「3.11メモリアルネットワーク」や「かどのわき町内会」などが共催。地震と津波の発生を想定し、参加者は五つの班に分かれ、それぞれ別の地点から避難場所の高台を目指した。

 公園内のみやぎ東日本大震災津波伝承館を起点にした班は、修学旅行中の高校生や教員、県外からの旅行者といった設定で来訪者の避難を試した。来訪者役は指示に基づき「スマートフォンをバスに取りに行きたい」「ハザードマップを見せてほしい」などと職員に要望。津波警報ではなく注意報だったため職員が避難をためらうなどし、来訪者役の判断で市桜坂高に向かって移動を始めた。

 避難中も余震の発生など状況を変化させながら対応した。能登半島地震を受け、津波の警報レベルが途中で変わり、注意報で津波が発生していたという想定も加えた。

 訓練修了後の意見交換では、参加者から「必要な情報をまとめたポケットサイズのパンフレットを作ったほうが良い」「今回の避難ルートが使えない場合も考えておくべきだ」といった提案があった。

 教員役で参加した同市石巻中教諭の須藤和樹さん(32)は「生徒の様子を見ながら、職員からの指示も聞いて行動するバランスが難しかった」と話した。旅行者役を務めた福島県浪江町の渡辺博憲さん(56)は「お年寄りや子どもには険しい道もあった。実際に歩いて初めて分かることが多かった」と語った。

 ネットワークの中川政治専務理事(47)は「訓練を毎年続け、来訪者の視点を確認しながら学び続けていきたい。『ここに学びに来てください』というモデルの場になりたい」と語った。

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