組織の防災、役割を再認識 石巻でトークセッション 県内語り部プロジェクト
災害に備え、地域の企業や団体が取り組む危機管理について考えるトークセッションが10日、石巻市南浜町のみやぎ東日本大震災津波伝承館であった。被災地域で活動する団体の話を通し、参加者は組織が担う防災の役割について認識を新たにした。
公益社団法人3.11メモリアルネットワークと、県、東北大災害科学国際研究所が共催する「県内語り部プロジェクト」特別企画トークセッションとして開催された。
登壇したのは一般社団法人「健太いのちの教室」の田村孝行代表理事と、南三陸まちづくりプラットフォームの伊藤俊代表。「今日からできる危機管理」をテーマに、企業の危機管理について教訓と感じたことなどを話した。
田村氏は、震災の津波で女川町の勤め先にいた長男健太さん=当時(25)=を亡くした。法人を設立後、企業防災を軸に震災での学びを次世代に生かすための啓発活動を県内外で続けている。
当時の企業の動きを振り返りながら「安全は目に見えないため、事前の備えが肝心になる。組織の中で話し合いができる柔軟な環境をつくるためには、人や命を一番に考えられる良心が必要だ」と強調した。
「過去にその土地でどんな災害があったかを学び、周囲の環境なども確認し、訓練につなげてほしい。復興の流れの記録を残していくことも、他地域で災害があった際の道しるべになるはず」と呼びかけた。
伊藤氏は、南三陸町の南三陸ホテル観洋で、第1営業次長を務めている。震災当時はホテルが2次避難所となったことなどを紹介した。
南三陸町では、震災の風化を防ぐため語り部バスを運行したり、町内に点在する個人商店のマップを作成したりする活動があり、地域の活性化や交流の創出に努めている。伊藤氏は活動の意義について「企業は地域との関わりを積み重ねていくことが大切。観光をしてもらい、南三陸を好きな人を増やすことにもつながっている」と話した。
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