資源回復願い稚魚放流 27万匹いけす投入、東松島市内3カ所 鳴瀬吉田川さけ増殖組合など
東松島市内の漁港などで今季のサケの放流が始まった。15日は鳴瀬吉田川さけ増殖組合が育てた稚魚約27万匹を市内3カ所で放流。県内では2019年以降、水揚げ量が激減しており、関係者は資源回復を願いながら稚魚を海に放した。
放流した稚魚は昨年10月末~11月、鳴瀬川や吉田川の河口付近で捕獲したサケから採取したもの。大和町のふ化場で体長約5センチ、重さ約1.1グラムになるまで育て、約55万匹の稚魚を確保した。
放流作業には同組合職員や県漁協の生産者らが参加した。約半数の約27万匹を市内の浜市、宮戸、大曲各地区に9万匹ずつトラックで運搬。海に設置したいけすにホースで放流した。いけすの中で7~10日ほど育て、海に放つ。北太平洋を回遊した後、3、4年で育った海や川に戻る見込み。
残る約28万匹は22日、松島町の吉田川上流で放流する。同組合は加美町のふ化場でも、鳴瀬川で捕獲、採集した約32万匹と、北海道から移入した約32万匹の計64万匹を飼育。3月中旬から4月にかけて鳴瀬川に放す予定だ。
県水産業基盤整備課によると、県内の河川や沿岸への来遊数はピーク時の2008年が約344万匹だったのに対し、22年は約4万7000匹と大幅に減少した。稚魚の放流数も減少傾向にあり、21年は約957万匹と少なかったものの、22年は県外から移入した稚魚も加え約3011万匹を放流した。
浜市地区で放流作業に参加した県漁協鳴瀬支所の大友康広さん(41)は「太平洋側のサケ漁は壊滅的で、水揚げは全盛期の1%もない。今は東松島産のサケが絶滅しないように放流をしている。100匹でも200匹でもいいから帰ってきてほしい」と願った。
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