タイの人権活動家が石巻訪問 持続可能な水産業、好評価 技能実習生とも交流
漁業者の人権保護や持続可能な水産業の実現を訴えている、タイの人権活動家パティマ・タンプチャヤクルさん(48)が21日、石巻市を訪れた。タイの漁業者や世界自然保護基金(WWF)ジャパン(東京)のスタッフら約10人と市内の水産加工会社を訪問。企業が行っている取り組みを聞き、活動推進のための知見を広げた。
パティマさんは、東南アジアで拉致や人身売買に遭い、まともな賃金のない長時間労働など不当に働かされている漁業者の救出・支援に取り組んでいる。これまでミャンマー人やラオス人ら5000人以上の救出に携わったといい、活動はドキュメンタリー映画でも取り上げられた。ノーベル平和賞の候補に推薦されたこともある。
同市幸町の水産加工会社「ヤマナカ」では高田慎司会長が東日本大震災の経験に触れ「身をもって食の大切さを知った。この経験が活動の原動力になっている」と語った。
会社の取り組みとして、高水温に耐えられるホタテの種苗の品種改良など、持続可能な水産業の実現に向けて関係者と取り組んでいることや、地球温暖化による水産物の死滅、担い手不足といった日本の水産業の課題も説明した。
パティマさんは「震災から立ち上がり、画期的な取り組みを進めていることが素晴らしい」と述べた。また、同社で働くタイの技能実習生2人とも交流。日本に来たきっかけや母国との労働環境の違いを聞いた。
一行は22日に石巻魚市場と宮城水産高も視察。能登半島地震の被災地にも足を運んだ。
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