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竹明かり、空間を演出 北上川河口堤防で「酔居テラス」 バーベキューなど満喫

堤防スペースでマシュマロを焼く子どもたち

 石巻市中央2丁目の北上川堤防上スペース「かわまちオープンパーク」で24日、星空を見ながら夜の石巻を楽しむ「酔居(よい)テラス」(実行委員会主催)が開かれた。学生や近隣住民らが訪れ、普段とは違う堤防空間を楽しんだ。

 辺りが暗くなった午後6時ごろ、竹明かりアーティストの田中利樹さん(福岡県)が制作した竹灯籠に付けた発光ダイオード(LED)を点灯。大人はホットワインやコーヒーなどを飲みながら竹灯籠を写真に収め、子どもたちはバーベキュー用のコンロでマシュマロを焼いて楽しんだ。

 期待された満天の星空ではなかったが、友人と訪れた石巻市石巻小2年の三浦葵君(8)は「竹の穴からきれいな光が出ていたのがすごい。お菓子もおいしかった」と満足していた。

 イベントは、石巻専修大でまちづくりなどを学ぶ浅野めぐみさんがお世話になった石巻に恩返しをしようと企画した。

 浅野さんは「来てくれた人がそれぞれの楽しみ方をしてくれて良かった。卒業前にいい思い出をつくることができた」と語った。

石巻に感謝、石巻専修大4年の浅野さん企画

 石巻専修大は東日本大震災後に整備された石巻市の北上川河口部の堤防で、地域住民とつながるイベントを開催してきた。「酔居テラス」は学生が主体となって企画した。主催者で今春卒業する経営学部経営学科4年の浅野めぐみさん(22)は「知り合いが増え、いい思い出をたくさんつくらせてもらえた」と石巻への感謝を語る。

 浅野さんは水戸市出身。東日本大震災の被災地支援に携わる人が講師となり復興の在り方を考える講義「復興ボランティア学」に興味を抱き、入学を決めた。

 経営学部・庄子真岐教授のゼミナールが2018年から実施する「竹こもれびナイト」にも関わる。こもれびナイトは震災犠牲者への鎮魂と、住民の心の復興と再生を込めて竹灯籠に光をともすイベント。昨年は実行委の中心メンバーとして活動した。

 酔居テラスはその延長線といえる活動で、卒業前に学生生活の集大成にしたいと、個人で開いた。来場者へのドリンクの販売などを一人でこなし、慌ただしく動き回るも表情は晴れやかだった。

 イベントを終え「訪れた人同士で談笑するなど、新しい出会いもつくれて良かった。縁がなかった地域で、少しかもしれないがさらに活気づくきっかけになったらいい」と話す。

 卒業後はまちづくりの分野に興味があることから、鳥取県智頭町に移住し、地域おこし協力隊として活動する。

 「石巻を離れるのは寂しい。それでも、ここ(石巻)で学んだことを生かし、人の輪が広がるイベントなどを開きたい」と浅野さんは前を向いた。

卒業前に自身でイベントを企画した浅野さん(左)

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