魚の目利きにAI活用 石巻魚市場で実証実験 30種判別、1分間に300匹処理
人工知能(AI)や画像処理技術を活用し、定置網などで水揚げされた魚を自動で仕分ける装置の実証実験が29日、石巻市の石巻魚市場であった。手作業での選別に必要な目利きの力をデジタル技術で代用し、人手不足が課題の水産業を支える狙い。
装置はソフトウエア開発の「東杜シーテック」(仙台市宮城野区)など県内企業が連携し、2019年から開発を進める。コンベヤーに載せて流れてきた魚を八つのカメラが観測。AIが形や大きさ、色、模様などで魚種を判定し、個別のトレーに振り分ける。
判別可能な魚種はソウダガツオやイナダ、カンパチなど約30種類で、最大で体長40センチまで対応できる。1分間に最大300匹を処理でき、AIの精度は98~99%、装置全体での仕分け精度は90%ほどだという。
実証実験は定置網で水揚げされたサバとアジにホウボウを加えた3種で実践。コンベヤーに混載された魚が自動で仕分けられていく様子を水産業関係者らが見守った。
魚の選別作業は現状、魚市場職員や生産者らが担っている。素早く見分けるには一定の経験や知識が必要な上、立ち作業で体力的な負担も大きい。
参加した石巻魚市場の職員は「人手不足は今後さらに厳しくなるので、省力化は必要。システムが改良され、大量の水揚げを素早く仕分けられるようになればいい」と期待した。
実証実験は女川町や気仙沼市、八戸市、長崎県でも実施されてきた。24年度は実用機を開発する計画で、25年度以降の実用化を目指す。東杜シーテックの担当者は「処理能力と精度の向上が課題。現場のニーズに応えるために処理能力をさらに2、3割高めたい」と話した。
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