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朗読×書×音楽がコラボ 石巻・旧観慶丸商店で朗読劇 独創的な舞台空間楽しむ

芝原さん(中央)と大橋さん(左)の朗読に合わせて桜井さん(右)が書のパフォーマンスを披露

 書、音楽とコラボした朗読劇「野菊の墓」(伊藤左千夫作、脚色・高橋菜穂子)が2月26日、石巻市中央3丁目の旧観慶丸商店で上演された。観客は約1時間、アートの枠を超えて繰り広げられた新しい形の舞台表現を楽しんだ。

 石巻地方を拠点にする演劇ユニット「コマイぬ」代表の芝原弘さん(42)と俳優大橋奈央さん(29)が、昨年6月公演に続いて15歳の少年政夫と17歳のいとこ民子を演じた。

 今回は新たに同市の書家桜井育子さん(45)と札幌市の新芸能集団「乱拍子」代表・村場踊さん(36)が加わった。

 会場は中央のステージを360度囲むように客席を設定。ステージと客席の間のスペース4カ所には横長の用紙を1枚ずつ配置、独創的な舞台空間の中で朗読劇は始まった。

 芝原さんと大橋さんの朗読に合わせて村場さんがシンセサイザーや和太鼓、横笛で即興的に演奏した。桜井さんは政夫と民子の気持ちをピンク色や黒色などの墨を筆につけて表現、4枚の用紙に次々描いた。

 演劇とアートの共演が、互いの思いを貫いた政夫と民子の美しくも悲しい愛の物語を立体的に紡いだ。

 仙台市から訪れた河岡奈美子さん(43)は「音楽が耳から、書のパフォーマンスが目から入り、体験したことがない朗読劇の世界に浸れた」と感激した。

 物語の進行に合わせ4枚の用紙にそれぞれ色を重ねていった桜井さんは「朗読と音楽に心が突き動かされて書いた。コラボの無限の可能性を感じた」と充実感をにじませた。

 主催した芝原さんは「さまざまなアートとつながるだけでなく、北海道や岩手からもアーティストやプロデューサーが駆けつけてくれた。これを第一歩に石巻でしか生まれない舞台表現を探っていきたい」と手応えをつかんだ。

 朗読劇「野菊の墓」は昼と夜の2回行われた。

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