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竹明かりに故人しのぶ 東松島・キボッチャで慰霊祭 震災犠牲者悼む

訪れた市民らは竹明かりの前で献灯し、犠牲者の冥福を祈った

 東松島市野蒜の防災体験型宿泊施設「KIBOTCHA(キボッチャ)」は11日、敷地内の旧野蒜小体育館跡に献花台や竹明かりなどを設け、東日本大震災で犠牲になった市民らを悼む慰霊祭を開いた。

 会場には、砂の彫刻家で市地域おこし協力隊員の保坂俊彦さんが「共に」をテーマに制作した大型砂像を展示。震災で死亡・行方不明となった市民と同じ数の竹筒1133本も設置した。日が暮れると、発光ダイオード(LED)電球やろうそくの火で竹筒に温かな明かりがともった。

 集まった市民らは、地震発生時刻に黙とうし、献花。夕方には慰霊祭が行われ、献灯や同市小野地区出身のバイオリン奏者鹿嶋静さんによる送り音の演奏があった。

<母ら亡くした渡部さん、地元のため尽力誓う>

 慰霊祭は、旧野蒜小の卒業生でキボッチャ職員の渡部杏さん(37)が司会を務めた。

 震災では母と兄、叔母を失い、自宅も全壊した。当時24歳だった渡部さんは、母と一緒に仙台市に出かける予定だったが、急きょ母は仕事に行くことになった。

 「私は大丈夫だから、1人で行っておいで」。母の言葉が最後の会話になった。家族の死や津波の被害に遭った地元に、理解が追いつかないまま13年がたった。

 渡部さんの希望の光は父だった。「自分よりたくさんものを失い、ボロボロになった父は、地域の人のために頑張り続けていた。誇りに思う」と話す。

 結婚して3人の子の母になり「子どもたちを全力で、命に代えてでも守っていく。地元のためにできることを探し、頑張っていきたい」と語った。

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