閉じる

わいどローカル編集局 > 赤井(東松島市)

 「わいどローカル編集局」は石巻地方の特定地域のニュースを集中発信します。15回目は「東松島市赤井」です。

   ◇

祭りや講座、住民活躍 赤井地区自治協議会

毎週木曜に赤井市民センターで開催されている健康マージャンの集い

 「オラが古里 赤井はひとつ」を合言葉に、住民総参加で行事に取り組む東松島市赤井地区。全体を統括し「オール赤井まつり」などの行事を運営・企画する自治会組織「赤井地区自治協議会」に迫った。

 協議会は、長年祭りなどを開催してきた赤井地区コミュニティー推進協議会など複数の団体・個人を統合し、2008年に誕生。地区内10の自治会の代表らで構成される。

 年間を通して、福祉、環境、コミュニティー、安心安全の四つの専門部会が活動する。毎年度、活動方針や課題を見直し、住み続けられる地域を目指した取り組みに力を入れている。

 活発な活動の源には、あふれんばかりの「地域愛」があると協議会の斎藤英彦会長(60)は言う。「住民が集まるといい点も改善点も議論になる。住民一人一人に街を良くしたい思いが強い」と語る。

 赤井市民センターを拠点に活動。市主催の市民講座がある中、協議会は昨年、独自に「健康マージャンの集い」を開設した。

 参加者の脳の活性化などを促し、「たばこを吸わない! お酒を飲まない! お金を賭けない!」をポリシーに活動している。現在は住民ら約60人が所属。20~80代の幅広い年代が交流を深めている。

 他にも、祭りの運営委員を一般募集するなど、住民が主体的に活動できる場所を増やしている。

 斎藤会長は「中高生など若い世代も活躍できる場を広げたい。隣近所で顔が見え、普段から会話が弾む関係を目指す」と話した。

課題解決へ地域を奔走 集落支援員・斎藤さん

各自治会のお茶っこ飲み会に顔を出す斎藤さん(中央)。日常会話の中から住民の困り事などを見つける

 自治会のお茶っこ飲みから子どもたちの登下校まで、足を運んで「こんにちは」。東松島市赤井地区の集落支援員(※)、斎藤健さん(61)は地区の活性化を目指して奮闘している。

 朝は小学生が使う通学路の交差点に立ち、登校を見守る。夕方は青色回転灯の付いた乗用車(青パト)にさっそうと乗り込み、地区をくまなくパトロールする。

 「常に子どもや住民の様子を気にかけている。顔なじみになり、手を振ってくれる子どももいる」

 仙台市出身で、10歳の頃に石巻市に引っ越してきた。約30年前からは東松島市赤井の南区新町地区内で暮らす。仕事の傍ら、自治会活動には積極的に参加してきた。

 2021年に長年勤めた医薬品販売会社を早期退職。直後に集落支援員の募集を見かけ「赤井地区のために何かしたい」と応募を決めた。22年4月に市から委嘱され、活動を始めた。

 活動から約2年がたち、各地域の環境の違いや域内交通事情など赤井地区の課題も見えてきた。まずは、ごみのポイ捨ての多い道路をきれいにしようと、住民たちと一緒に楽しく清掃できるイベントを考えている。

 活動は4月から3年目に入る。「まだ私を知らない人もいる。もっと地域に顔を出し、触れ合っていきたい」。斎藤さんは今日も赤井地区をひた走る。

(※)集落支援員:過疎化が進む市町村の活性化を目的に、総務省が2009年度から導入した制度。各地方自治体が地域の実情に詳しい人材に委嘱し、市町村職員らと連携しながら地域課題の解決などに取り組む。東松島市は20年度、市内を8エリアに分けて導入した。現在は赤井、矢本東、大曲、宮戸の4地区にそれぞれ1人ずつ配置されている。

ライブの響き再現、圧巻の機材 ジャズ喫茶「アビーロード」

ジャズとコーヒーを楽しめる店内

 東松島市赤井の住宅街にひっそりとたたずむジャズ喫茶「アビーロード」。自宅横にある倉庫の2階に上がる。店に入ると、巨大なスピーカーやアンプの数々に圧倒される。音楽好きや音響機材を知る人にはたまらない空間だ。

 店名はオーナー斎藤良一さん(69)が中学2年の時に初めて購入した人気海外バンドのレコードに由来。店内はアンティーク家具や斎藤さんが作った棚がレトロな雰囲気を醸し出す。メニューは菓子付きのホットコーヒー(700円)のみで、コーヒーはおかわり自由となっている。

 斎藤さんが1986年ごろから購入し、自分でカスタムしたスピーカーなどが並ぶ。全国や海外から良質な音を求めて客が訪れ、開店以降1200人を超える。斎藤さんは「その場で演奏しているかのような、ライブ感のあるリアルな音を求めてきた。楽器の演奏経験のある人やジャズが好きな人はより楽しめる」と語る。

 店内には斎藤さんが集めたレコード2000枚とCD1000枚がある。ジャズが8割を占め、店では斎藤さんがランダムで再生している。特に好きなジャズは1960年前後のモダンジャズで、黒人演奏者の人権侵害や差別にあらがうパワフルな演奏が良いという。

 斎藤さんは石巻市内の流通会社の役員をしていたが、東日本大震災の津波で被災し、会社は廃業となった。自宅を再建する際に好きなジャズを生かした事業を志し、2012年に開店させた。

 持参したCD、レコードの再生も受け付ける。斎藤さんは「演奏者やスピーカーの技術で長年かけて完成したサウンドが体感できることが魅力。家で聴くのとは違う感動が味わえるのではないか」と語った。

 午前11時~午後9時。不定休。店のブログ「東松島 アビーロード ブログ」で確認できる。持参するレコードは破損や変形のない物に限る。来店する際は事前連絡が必要。日程や再生する曲目などを相談する。連絡先は090(7527)6705。

東松島市でJazz&Audio喫茶店 アビーロード ブログ

   ◇

 赤井販売店と連携し、相沢春花、渋谷和香の両記者が担当しました。次回は「石巻市釜地区」です。

関連リンク

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告などについては、こちらのサイトをご覧ください ≫

ライブカメラ