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被災から修復、最後の美術作品3点公開 石巻市博物館で文化財レスキュー展

修復を終えた最後の美術作品3点を展示している石巻市博物館企画展示室

 石巻市で、東日本大震災で被災し文化財レスキューの対象となっていた最後の美術作品3点が、修復を終え帰ってきた。油彩画3点で、現在「文化財レスキュー+新収蔵資料展」と題し同市開成の市博物館(マルホンまきあーとテラス内)企画展示室で公開されている。

 里帰りしたのはいずれも油彩で、芦名忠雄(1916~95年、石巻市出身)の「港」、千葉精三(09~92年、旧河南町出身)の「三田慶大前」、芳賀仭(09~63年、石巻市出身)の「荷を負う人」。東京芸大・保存修復油画研究室で修復された。

 「荷を負う人」は砂や製紙工場から流れてきたパルプが多く付着・堆積したため、絵の具を傷付けないように汚れを除去した。公開に際しては、それぞれの作品の脇にレスキュー作業の過程を写真付きで解説したパネルも展示されている。

 文化財レスキューは、被災した美術作品などの文化財を救出、専門機関で洗浄・修復し、展示できる状態にして所蔵館に返還する活動。同市の場合、震災の津波で石巻文化センターが被災し解体されたため、所蔵されていた美術品は2021年に開館した市博物館に移った。同館によると、レスキューの対象となった所蔵品は移送、修復を含め全体で十数万点に上ったという。

 文化財レスキュー展は市博物館がオープンした後、作品を入れ替えるなどしながら断続的に開催されてきた。今回はこれまで展示できなかった彫刻などの作品も合わせて公開している。

 学芸員の小野雄希さん(27)は「これで被災した全ての美術作品、民俗、考古、歴史資料が帰ってきた。被災地で文化財が果たす役割・意義を発信していきたい」と語った。

 会場には毛利コレクションなど新たに収蔵した資料も展示している。会期は5月6日まで。入場無料。休館日は月曜(祝日の場合は翌日)。午前9時~午後5時。連絡先は市博物館0225(98)4831。

「文化財レスキュー+新収蔵資料展」開催 - 石巻市

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