いしのまき食探見 > メカンゾウ ほのかな甘み、春告げる
海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。
メカンゾウ(芽萱草)
山の麓などで山菜のメカンゾウが土から顔を出し、春の訪れを知らせる。
ススキノキ科の多年草で、山の麓などに自生する。気温が上がるにつれて芽が出る。発芽後15センチ程度までは食べられる。梅雨の頃に濃いオレンジ色のユリのような花を咲かせる。
石巻市東福田でハーブ園「イーストハーブガーデン」を営む鈴木節子代表(77)は自宅周辺に自生するメカンゾウを採取し、出荷している。鈴木さんは「あっさりした味で、えぐみがほとんどないことが特徴。自生場所には土の状態が影響しているようだ」と話す。
鈴木さんは2008年ごろ、メカンゾウが市内で販売されていたのを見て、自宅にもあることに気づいた。採取して同市小船越の道の駅「上品の郷」で販売したところ好評だった。今も採取できる年は出荷をしている。ほとんど売り切れるほどの人気だという。
さまざまな食べ方があるが、特に鈴木さんお勧めの調理法は「酢みそあえ」だ。中火で1分ゆでたメカンゾウを「ばっけみそ」に酢を混ぜ、あえていただく。軟らかくシャキシャキとした歯応えが心地よい。赤パプリカと合わせて少量の油で揚げたかき揚げも、ほのかな甘さを楽しめる。
鈴木さんは「山菜は今の時季にしか食べられない。メカンゾウで春の訪れを感じてほしい」と語った。
(渋谷和香)
<メモ>
石巻市小船越の道の駅「上品の郷」内の農産物特売所「ひたかみ」を中心に出荷され、石巻地方では3月下旬~4月半ばに販売される。1袋50グラムで約120円で、多いときは年間2.5キロ採取できるが、シカの食害などで採取量は減少しているという。
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