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サン・ファン館に新復元船 全長14メートルFRP製、設置始まる 来月末ごろ完成予定

新復元船の搬入作業。船首部分に続いて船尾部分がクレーンで設置された

 老朽化などのため解体された県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)の木造復元船「サン・ファン・バウティスタ号」の後継船設置作業が17日、石巻市渡波のサン・ファン館で始まった。新たな復元船は4分の1サイズで、リニューアルのため長期休館中の同館で再開後の展示の目玉となる。この日は船体部分が搬入され、今後はマストや装飾を取り付けて5月末ごろの完成を予定する。

 新復元船は繊維強化プラスチック(FRP)製で全長14.2メートル、幅3メートル、メインマストの高さは12.3メートル。木造復元船を係留していたドックが埋め立てられた広場に運ばれた。午前9時ごろに作業が始まり、トレーラーとクレーンで船首と船尾に分けて搬入。作業員が慎重に接続部を合わせ、約2時間後には船体が姿を現した。

 静岡県内の造船所で造られ、仙台市の倉庫に保管後、同館に搬入された。今後は船首と船尾をつなげ、マストや装飾を設置。完成後は拡張現実(AR)を使って帆を張った様子などが見られるようになる。

 サン・ファン館は2022年11月から休館し、再開は今秋を見込む。再開後は展望棟やドック棟の展示を充実させ、常設展示は1996年の開館以来初めて大幅にリニューアルする。新復元船の近くには、保管していた木造復元船のマストなどを展示する。展示に伴う事業費は9億6690万円。

 高橋正法企画広報課長は「リニューアルオープンに向けた節目になり感慨深い。FRPだが、木造船の質感や色は精巧に表現されていて見応えがあると思う。国内外の多くの方に来てもらいたい」と話した。

 木造復元船は93年に建造された。木造のため雨風などの影響で腐食が進み、東日本大震災の津波被害も受けた。県は補修・維持費用や木造船再建の職人がいないことなどを踏まえ、2022年7月までに解体を終えた。

新復元船の設置作業が始まった広場

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