閉じる

若宮丸漂流民の故郷巡り、帰国220年しのぶ 津太夫の子孫が案内 塩釜・寒風沢島

島にある水田を訪れた参加者。復旧状況を加藤さん(右)から聞く
津太夫・左平の世界一周の案内板に関心を寄せる参加者。右はNPOみなとしほがま事務局長の大和田さん

 石巻若宮丸漂流民の会(木村成忠会長)は14日、塩釜市の寒風沢島でツアーを実施した。江戸時代に石巻港から出港、江戸に向かう途中、福島沖で遭難、ロシア領に漂着し日本人で初めて世界一周する形で帰国した千石船・若宮丸漂流民の故郷を巡った。同時に東日本大震災から復興・再生を目指す島の姿に感慨を新たにした。

 今年は漂流民4人が帰国してから220年。うち津太夫、左平の古里が寒風沢だった。ツアーには約20人が参加。津太夫の子孫で漂流民の会理事の加藤信助さん(41)とNPOみなとしほがま事務局長の大和田庄治さん(60)が案内人を務めた。震災の津波で流失し、3年前に塩釜市教委によって再建された「津太夫・左平の世界一周案内板」を見学したり、津太夫の菩提寺(ぼだいじ)である松林寺を訪ねたりした。

 島の防災への取り組みも学んだ。津波で島民2人が犠牲になっており、日和山展望台(標高90メートル)のあずまやに収納した避難用テントに関心を示した。

 津波被害を受けた水田も訪れた。塩釜の本土で生まれ育った加藤さんは、7年前に寒風沢に移住しコメ作りに取り組むなど、島の営みを農業で守る決意を伝えた。

 北海道函館市から参加した会員の倉田有佳さん(函館日ロ交流史研究会代表世話人)は「津太夫らが暮らした島の空気に触れることができた。その子孫が島の再生に尽力している」と感動した。

 加藤さんは「寒風沢米を全国にPRし移住者を増やしたい。それに島には若宮丸の歴史遺産がある。島の再生、活性化に生かしたい」と強調した。

■新講談実施を検討

 漂流民の会は、ツアーの前に総会を寒風沢ステイ・ステーションで開催。新講談「若宮丸漂流物語 ふるさとなお遠く」口演会実施を検討することにした。若い世代の会員を増やすことが課題に上げられた。

関連リンク

関連タグ

最新写真特集

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告、休刊日などについては、こちらのサイトをご覧ください

ライブカメラ