マンガ業界へ、夢後押し 交流・創作拠点「ヒトコマ」、開館半年 若手らの活動支える
石巻市中央2丁目の交流・創作活動拠点「いしのまき MANGA lab.ヒトコマ」が今月、オープン半年を迎えた。画材や資料がそろう空間で好きなだけ創作に打ち込め、ワークショップではプロの声優や漫画家の技巧に触れられる。マンガ・アニメ業界を目指す子どもたちや市内の若手作家の活動を支え、夢を後押しする場として定着しつつある。(西舘国絵)
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施設は同市のまちづくり会社「街づくりまんぼう」が運営する。入場料は無料で、来場者は自由に絵を描いたりイラスト制作のハウツー本などを読んだりできる。タブレットやマーカーペンの利用には年間パスポートの登録が必要だが、会費は18歳以下が550円と安価に設定する。
施設の運営を担当する同社まちづくり事業部の三浦悠さん(31)は「利益はあまり重視せず、未来への投資と考えている」と運営方針を説明する。
最大の目標は「石巻から作家をたくさん輩出すること」。紙とペンから始まる創作の楽しさを広め、子どもの「もっと描きたい」という気持ちを応援する。専門学校の資料なども置き、漠然と創作の道を志す子どもへの案内役も果たす。
施設の存在は市内に住む作家の発掘にもつながった。
その1人がおととしデビューした同市蛇田在住の漫画家采花さん(24)。仙台市若林区の日本デザイナー芸術学院在籍中に出版社の目に留まり、漫画誌「別冊フレンド」(講談社)に読み切り作品が掲載。以後も定期的に作品を発表している。
同校を卒業後、アパレルショップのアルバイトなどもしながらマンガを描いていたところ、ヒトコマのスタッフとなる市地域おこし協力隊員の募集を見つけた。「最高の環境だ」とすぐに連絡。隊員は都市部在住者に限るため採用はかなわなかったが、3月からアルバイトとして働き始めた。
采花さんは執筆の傍ら、子どもらに絵の描き方のこつなどを指導する。「教えるのは難しいが、人間的な成長につながって楽しい。人の印象に残り、元気が出たと言ってもらえる作品を描きたい」と話す。
施設が創作の芽を育み始めた一方で、運営は順風満帆とは言えない。利用者数は当初の見込みより少なく、要となるはずの協力隊員はいまだに決まらない。三浦さんは「絵を描きたい子どもは予想以上にいると分かった。新しい技術を吸収できる創作の場として周知していきたい」と語った。
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