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山から見てみた石巻(2) 矢本地区・滝山 四季の移ろい、肌で実感

木々の向こうに見えた矢本地区の田畑や住宅。奥には青い海が広がる

 東松島市の桜の名所、滝山公園の山頂を目指した。車だとかろうじてすれ違える幅の道も歩行者には広く、緩やかな勾配が体に心地よい負荷を与える。

 山頂からは矢本地区の民家や田畑が見えた。国道45号を行き交う車は米粒のよう。人の営みは見えても音は届かず、ウグイスの声だけが辺りに響く。せわしない日常を離れ、自然と穏やかな気持ちになった。

 遠くに防風林が横一列に並び、その奥に静かな太平洋が青く光る。公園には東日本大震災の犠牲者慰霊碑がある。あの日の寒さが思い起こされた。

 写真撮影のため4月中旬から何度か足を運んだ。風景は数日ごとに表情を変えた。一面に咲いていた桜は青葉に衣替えし、かと思えば緑の間から白やピンクの八重桜がふわりと姿を現した。下旬、初夏を思わせる風が吹いた。四季の移ろいを肌で感じた。

 車で帰路につき、45号を走る。ふと、今は自分があの米粒の一つになったのだと気付き、面白く思った。(西舘国絵)

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