気仙大工の技 石巻・十三浜の板倉2棟を有形文化財指定 旧鈴木家住宅、旧佐々木家住宅
国は石巻市北上町十三浜にある「旧鈴木家住宅板倉」と「旧佐々木家住宅板倉」を登録有形文化財(建造物)に指定した。今回の登録で県内の国登録有形文化財(同)は210件、市内は8件となった。
二つの板倉は北上川の下流域などで多くみられた柱の間隔が狭い造りで、気仙大工の技量を示す彫刻が施された建築物の特徴を後世に伝えるとして、文部科学省文化審議会が文科相に登録を答申していた。
どちらもかつては米倉として使われていた建物。旧鈴木家板倉は、間口5.4メートル、奥行き12.7メートルと大型で、市内の民家に1915(大正4)年に建てられた。屋根はスレートをふき、軒下と垂木の間の隙間を埋める面戸板(めんどいた)や妻飾りの彫刻が特徴となっている。
旧佐々木家板倉は間口4.5メートル、奥行き7.2メートル。明治中期に市内の民家に建てられ、15年に市内の別の民家に移された。出入り口上部のひさしを支える持ち送りの彫刻が目を引く。
共に2022年、東日本大震災の津波で流失した旧北上町役場があった場所に移築された。地元企業が観光拠点化を目指し、飲食店として活用している。登録の官報への告示は3月6日付。
元筑波大講師で市文化財保護委員の泉田英雄氏(69)は「強くしっかりしていれば機能として十分なのに、飾りがあり、お金と技術をぜいたくに費やした当主の心意気が感じられる」と評価。「震災で傷んで取り壊された物もあり、姿を消しつつある建物。周辺は津波被害で人が住めなくなった場所があるが、地域に活気が戻るきっかけになってほしい」と話した。
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