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ニュースを聴く > 物流の「2024年問題」対応 県トラック協会石巻支部長・武山孝好氏

2024年問題について語る武山支部長

 トラック運転手の時間外労働(残業)の規制が4月から強化された。物流の停滞が懸念される「2024年問題」について、県トラック協会石巻支部長の武山孝好さん(50)に運送事業者への影響や対応策などを聞いた。(聞き手・浜尾幸朗)

荷主との連携肝要

-全国的に24年問題で運送事業への影響が懸念される。

 「規制によって運転手の労働時間が短縮され、納期の遅延や輸送量の低下が懸念される。輸送量の低下に伴い、営業収入の減少や運転手の慢性的な人材不足が加速していく」

-石巻支部の会員事業所への影響は、どうか。

 「石巻支部には石巻、東松島、女川3市町の計136社が加盟する。事業形態やトラックの保有台数、輸送経路などが各社違うため、大きな影響を受ける事業所もあれば、影響が少ない事業所もある」 
 「会員事業所に対しては1、2年前から時間外規制や懸念される問題点などについて講習会を開き、情報発信してきた」

-24年問題では長距離輸送への影響が大きい。

 「長距離輸送で深刻な影響が懸念される。(1)運賃を上げる(2)高速道路を使う(3)中継拠点(営業所)を設ける-といった対応策が想定される。長距離輸送から県内の配送に切り替え、24年問題に対応している企業もある」

-運転手の人材を確保するには、どうすれば良いか。

 「運転手の年収は他産業と比べ3割安く、年間の労働時間は他産業より3割多い。労働人口が減少する中、他産業と同等か、それ以上の給与水準にしなければならない。労働時間も他産業と同等か、それ以下にして他産業から人を呼び込まないと人手不足は解消できない」 
 「そうするためには賃金の原資となる輸送運賃を荷主に上げてもらわなければならない。車両の整備費用や原油の高騰などで輸送コストは上がっている」

-荷主の理解が欠かせない。

 「24年問題に備え、企業によっては荷物が運べなくなったら困るので、運賃を上げたり、車両を増やしたりするケースもあった。荷主の理解もやっと進んできた段階と言える」

-今後、顕在化していく24年問題への対応は。

 「石巻支部として実施を予定する会員事業所への実態調査を踏まえ、有効な対応策の情報を提供していく」

-社会全体での取り組みが求められている。

 「業界だけの問題ではなく社会全体の問題と捉え、運送事業者が荷主と協力して物流が停滞しないようにしていく。荷主と対等なパートナーとして、生産性の向上や業務効率化への改善をこれまで以上に進めていく必要がある」

<メモ>
 4月に始まったトラック運転手の残業規制強化で、時間外労働に年間960時間の上限が設けられた。運転手1人の拘束時間(改善基準告示)は1日当たり原則13時間(最大15時間)、1カ月当たり284時間となった(労使協定などにより延長できる例外あり)。

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