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コロナ5類移行1年、石巻地方のいま(2) 医療福祉 感染への警戒、今もなお

感染リスクを低減するという陰圧装置を設けた面会室で、スクリーン越しに会話する入居者たち=5月20日、石巻市鹿又の「石巻花いちもんめ」
正面入り口にポスターを掲げ、マスクの着用を求めている=20日、石巻赤十字病院

 「院内ではマスク着用をお願いします」。病院の玄関で、ポスターに目を留めた男性が慌ててマスクを取り出し、身に着けた。

 新型コロナウイルスの5類移行から1年余り。社会の感染への警戒心が薄れる中で、石巻地方の医療や福祉の現場では気の抜けない日々が続く。

■面会の制限続く

 石巻市蛇田の石巻赤十字病院は5類移行後も面会制限を継続する。「5類への移行を問わず、地域の流行状況に応じて感染対策を緩めたり強めたりしている」と矢内勝院長補佐(69)は語る。

 コロナ禍、多くの医療機関は入院患者への面会を原則禁止した。同病院は地域の各医療機関と情報を共有し、週単位で状況を判断。感染者数が落ち着く現在は家族2人まで、時間は30分までと緩和している。

 矢内院長補佐は「5類移行後、医療機関でも感染に気付くのが遅れ、発見時には院内感染が拡大していた事例が少なくない」と指摘。同病院でも面会者から感染したとみられるケースが散見されており、流行状況に応じた面会制限の強化に理解を求める。

 高齢者施設でも同様に、感染への警戒が続く。同市鹿又の特別養護老人ホーム「石巻花いちもんめ」は、面会室でスクリーン越しに最大3人、1回15分間に制限。高校生以下は窓越しやオンラインで面会する。

 5類移行後は花見やカラオケ大会などの行事も再開し、入居者の笑顔があふれた。一方で、職員が抱える緊張感は変わらない。県外に出た際は「旅行届」を提出し、陰性を確認した上での出勤が求められる。

 施設の運営業務を担当する栗原友宏さん(70)は「個人に任せているものの、飲食を伴う会合などは今も自粛する職員が多い」と明かす。

■廃業した施設も

 感染対策に限界を感じ、廃業を決めた施設もあった。石巻地方のあるデイサービス施設では、家族から感染した利用者が施設内で発症するケースが後を絶たなかった。その度に1週間(5類移行後は5日間)の休業を余儀なくされた。

 休業は4度に及んだ。収入は減り、人件費が出るばかり。5類移行後も感染を危惧する風潮から新規利用が伸び悩んだ。折からの人手不足もあり、昨秋、18年間の運営に幕を下ろした。

 経営していた男性は「職員が感染を持ち込まないよう細心の注意を払っても、どうしようもなかった」と悔しさをにじませた。
(相沢美紀子)

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