ソフト面から販売強化 石巻青果「営業開発チーム」が活躍 若手女性社員中心に今春発足
石巻青果花き地方卸売市場(東松島市)を運営する石巻青果の営業部で、若手女性社員3人を中心とする「営業開発チーム」が活躍している。交流サイト(SNS)の活用や農家との情報交換を通じた、ソフト面からの販売力強化が狙い。消費者に市場の魅力を伝え、生産者のやりがいを引き出せる存在を目指す。(西舘国絵)
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「おはようございます!」
5月中旬の午前6時。キャベツやブロッコリーを積んだトラックが次々に滑り込む。木村彩絵さん(21)ら女性社員が、農家を明るく迎え入れた。
チームは採れたて野菜をその日のうちに店頭に並べる「今朝採り野菜」を担当する。仙台圏の消費者の支持が厚い、20年以上続く看板企画だ。
運び込んだ野菜をスーパーに配送する準備に取りかかる。作物の生育状況を聞き取り、今後の集荷見通しの参考にする。企画を通じ、畑の状況をリアルタイムで生産者から直接つかめるようになった。
■価格、数量を調整
チームは農家と量販店の間を取り持ち、仕入れ価格や数量を調整するのが主な仕事。中核を担う木村さんは入社4年目だ。「農家さんや熟練社員にもまれながら日々勉強している」
女性社員阿部麻菜さん(18)、菅井聖恋(せれん)さん(18)の入社を受けて4月に発足したチームは、シニアスタッフを含め計4人。約70人の営業部に女性は3人だけ。男性だらけの業界に新たな風を吹き込んでもらおうと「やりたいことは何でもやれ」との会社上層部の方針の下に始動した。
早くも意識変革につながった。専務の近江一仁さん(52)は「顧客とはこれまで生育の良しあしや収穫量など、取引に関することだけで交流していた。チームは細かいことに気付いて情報発信してくれ、それが生産者の楽しみにもつながっている」と手応えを語る。
■栽培普及交渉も
畑を回って農家と交流を深め、野菜が育つ様子や市場の日常をSNSでこまめに発信する。流通が少ない「新進気鋭」の野菜の普及に向け、生産者と栽培の交渉もする。
頻繁に更新され、解説が付けられるようになったSNSの成果は特に目覚ましい。10人程度だったインスタグラムのフォロワー数は600以上に伸びた。ダイレクトメッセージを通じて商品の取引が決まるなど、生産者との新たなつながりも生まれた。
近江さんは「人から言われてやる『作業』ではなく、自分で考えて成果につなげる『仕事』に挑戦し、いずれは地方に少ない女性のせり人になってほしい」と期待を込める。
新入社員2人は農業未経験。トウモロコシを意味する方言「とみぎ」が分からなかったり、小松菜と雪菜が区別できなかったりと、学ぶことはたくさんある。それでも「野菜は好きだし毎日楽しい」と笑顔だ。
産地と消費者を結ぶ地方卸売市場。木村さんは「双方の顔が見える関係、つながりができつつある。頼ってもらえる存在になり、生産者の苦労や野菜のおいしさを伝えたい」と意気込んだ。
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