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空中散水や給水実践 林野火災に備え合同訓練 石巻地区消防、県防災航空隊

防災ヘリと連携し、消火のための給水作業に当たる消防本部職員ら

 石巻地区消防本部は20日、県防災航空隊と合同訓練を実施した。石巻市南境の石巻霊園付近の山林で林野火災が発生した想定で、県防災ヘリコプターへの給水と空中からの消火、円滑な無線交信などを確認した。

 訓練には消防本部の21人と航空隊の9人の計30人が参加。「霊園付近の山から白煙が見える」との通報を受け、消火訓練を始めた。

 消防本部指揮隊が出動したが、現場からは白煙などを確認できないとして、指令課が防災ヘリに上空監視と空中消火を依頼した。指揮隊とヘリは無線交信で連絡を取り合い、発生場所の座標などを伝達した。

 消防本部脇の市防災拠点用地では、消火に使うバケットをヘリに取り付け、給水作業に当たった。手順を確認しながら約300リットルを給水。旧北上川上空で散水し、空中からの消火を実践した。

 訓練を指揮した消防本部の阿部渉指揮隊長は「現場の地上部隊とヘリとの連携は非常にスムーズだった。給水部隊も機材や使用方法を確認できて良かった」と講評した。

 市民に対しては「有事に備えて訓練を行っているが、火事が起こらないことが第一。草木は火がつくと消えにくいので、防火に努めてほしい」と求めた。

<野焼き原因の火災、5月末時点で7件>

 石巻地区消防本部管内では今年、野焼きが原因の火災が5月末時点で7件発生し、前年同期より5件増加。昨年1年間の発生件数5件を既に上回っている。消防本部は、家庭で出たごみや伐採した草木は野焼きしないよう呼びかけている。

 野焼きは、庭先や空き地でドラム缶などの中でごみを燃やす行為。焼き畑や農林漁業者らがやむを得ず廃棄物を焼却する場合を除いて原則、法律で禁止されている。

 消防本部予防課の浮津貴光課長補佐は「野焼きは目を離したり、風が強かったりすると大規模な林野火災に発展する恐れがある」と警告する。

 今年は隣県でも林野火災が相次ぐ。岩手県宮古市で4月、約180ヘクタールを焼失。山形県南陽町では5月に約137ヘクタールが焼けた。同県内では過去10年で最も甚大な被害になった。

 浮津課長補佐は「石巻管内でもたき火や枯れ草焼きなど、ちょっとした野焼きが原因の火災が起きている。火災は市民一人一人が気を付けることで防げる。防火への意識を高めてほしい」と話した。

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