食文化と生態系考える 映画「鯨のレストラン」、28日公開 鮎川浜でも撮影
食、生態系、環境保全などの観点から鯨に迫ったドキュメンタリー映画「鯨のレストラン」(2023年、77分)が28日~7月11日、石巻市茜平4丁目のイオンシネマ石巻で公開される。国内有数の捕鯨基地として栄えた同市鮎川浜でも撮影が行われた映画で、捕鯨や鯨食について考える機会になりそうだ。初日と29日は八木景子監督らの舞台あいさつがある。
映画は、鯨の消費量が激減する中、東京・神田で鯨料理専門店「一乃谷」を構え、さまざまな鯨料理で奮闘する谷光男さんにスポットを当てる。他に鮎川捕鯨(石巻市鮎川浜)の伊藤信之社長をはじめ、自然資源のルールを決める国際会議の主要メンバーや専門家が出演、食材としての魅力のみならず食料資源や環境問題についても言及する。
八木監督が製作を決意したきっかけは、東日本大震災の最大被災地・石巻でのボランティア活動だった。東京と石巻を何度も往復し支援物資を運ぶ中で、被害の大きさに自分の無力さを感じ「もっと産業で復興のお手伝いはできないか」と思い始めたという。
そんな時、1作目の『ビハインド・ザ・コーヴ』(2015年公開)製作で訪れた和歌山太地町で、石巻が日本最大の捕鯨基地だったことを初めて知り「これだと思った」と振り返る。「鯨産業を守るのが使命、復興に貢献する時」と自分を奮い立たせて「鯨のレストラン」を作った。
映画は昨年9月に東京で公開されたが地方で見る機会はなかった。八木監督は石巻での公開にこだわり続け、初公開から約9カ月、ようやく熱意が実を結んだ。イオンシネマ石巻の入江悠平総支配人は「地元の映画館として協力していきたい」と語る。八木監督は「国内でも鯨肉はなじみが薄くなっている。鯨食文化の魅力を石巻の若い世代に伝えたい。鯨食への理解を深めるきっかけになれば」と期待を込めている。
初日と29日、舞台あいさつ
「鯨のレストラン」の舞台あいさつが28、29の両日、イオンシネマ石巻で行われる。登壇者は次の通り(敬称略)。
▽28日午後2時10分の回終了後=伊藤信之(鮎川捕鯨社長)、須能邦雄(石巻市水産振興協議会会長)、鈴木誠(木の屋石巻水産)、八木景子(映画監督)
▽29日午前9時50分の回上映前=斎藤正美(石巻市長)
▽29日午前9時50分の回終了後=谷光男(鯨料理専門店「一乃谷」大将)、八木景子
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