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全国高校総合文化祭 出展・出場の石巻勢(2)美術・工芸部門 石巻市桜坂3年須田美月さん

校内で制作に取り組む須田さん

 高校生の芸術文化の祭典、全国高校総合文化祭(総文祭)が7月31日、岐阜県で開幕する。日ごろから研さんに励み、作品の出展や出場を決めた石巻地方の生徒らを紹介する。
(5回続き、次回は14日掲載)

   ◇

須田さんの作品「ワレモノ注意」(市桜坂高提供)

<子どもの複雑さ演出、解釈多様>

 ベニヤと木材で自作したキャンバスに断熱材を張り付けて削ったり、紙粘土やモデリングペーストを盛ったりして半立体(レリーフ)状に。アクリル絵の具でその上に、魚眼レンズで切り取ったような暗い空間を描いた。中央だけぼんやりと照らされ、小さな子どもがぽつんとたたずむ。眺めるのは額の絵画か、それとも外の世界を写す窓か-。

 石巻市桜坂高3年の須田美月さんの「ワレモノ注意」(縦93センチ、横110センチ、厚さ18センチ)は見る人に解釈の多くを委ねる。作品に込めた思いを「(子どもの期間は)誰しもが通る道でありながら、同じ人はいない。そして複雑で壊れやすい」と説明する。

 同年代との関わりから着想を得て「外から守られる存在の子ども」をテーマに制作。表面に新聞紙や「ワレモノ注意」と記したステッカーも見え隠れする。包装紙や箱がモチーフという。あえて荒々しい質感に仕上げたのも子どもの不完全さを演出するためだ。

 制作期間は約2カ月。「筆を思うままに動かす。下書きもあまりしない。その方が楽しい」と須田さん。高校で美術を始め、平面絵画から関心のあったレリーフに転向した。独自の構図やタッチを模索し、全国高校総合文化祭出展に結実させた。顧問の大坂祥春教諭は「大人の気付かないところに目がいく繊細さ、判断力がある。大きな作品で立体感を出し、思い切った表現になった」と評価する。

 須田さんは「いろいろな人に自分の絵を見てもらい、それぞれに解釈してほしい。見る人が自身を見つめるきっかけになればうれしい」と話した。

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