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津波で犠牲になったALTの物語、石巻好文館高生ら朗読劇に 来月、新英教研全国大会で披露

 8月3、4の両日、東松島市を会場に開かれる新英語教育研究会の第60回全国大会宮城大会で、石巻好文館高生らによるリーダーズシアター(朗読劇)が英語で披露される。東日本大震災時、石巻市内の小中学校で外国語指導助手(ALT)として英語を教え、津波の犠牲になった米国人テイラー・アンダーソンさん(当時24歳)の物語を届ける。

大学生と一緒に英語での朗読を練習する渥美さんと阿部さん(中央の2人)=15日、せんだい演劇工房10-box

 参加するのは石巻好文館高2年の阿部龍之介さん(16)と3年の渥美こむぎさん(18)。東北大生ら学生とともに舞台を務める。

 朗読劇の題は「テイラーさんからの贈り物」。石巻市の童話作家千葉直美さんが書いた「テイラーさんからの贈り物 津波の犠牲になったアメリカの先生」(2013年、創風社)が基になっている。本が好きだったテイラーさんの思いを、遺族が学校に本を贈る形で実現、「テイラー文庫」として被災地の子どもたちに親しまれている。この物語を英語による朗読劇にした。

 15日、仙台市若林区のせんだい演劇工房10-boxで練習会があり、2人は学生5人に交じって参加。台本の読み合わせをしながら英語の表現や動きを確認し、本番に備えた。

 英語が好きなことも参加の決め手になった。2人は「英語で朗読することによってテイラーさんの物語を世界に発信するきっかけになれば。特に同じ若い世代に伝えたい」と願う。

 「3歳だったが震災を記憶している。津波が来たというので石巻市湊小に避難した」という阿部さん。「家が石巻市水明地区だったのでマンションに住む親類の世話になった」と語る渥美さん。それぞれの震災体験を朗読劇に重ねる。

 新英語教育研究会は学校教諭や大学教員、英語教室主宰者らを中心に1959年に発足、創造的で生き生きとした授業実践を目指している。全国大会は64年以来、毎年夏に開催。今年は東松島市が開催地になったため、被災地として「テイラーさんからの贈り物」を取り上げることになった。

 会場は東松島市コミュニティセンター。朗読劇は3日午後0時20分からの開会行事の中で行われる。上演時間は約10分。

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