空自70年目の松島基地、共存共栄の現在地(4・完) 渡部司令に聞く
航空自衛隊松島基地は今後、地元東松島市とどのような形の「共存共栄」を目指すのか。渡部琢也基地司令(空将補)が25日までに、三陸河北新報社の取材に、基地活動について「地元の理解と協力が不可欠」と強調し、騒音の最小限化や地元への情報提供などに努める方針を示した。(聞き手は都築理)
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-空自が発足し、松島基地でパイロット養成が始まり70年の節目を迎えた。
「全国各地の基地に勤務したが、東松島市の自衛隊活動に対する理解は全国でも一番だと思う。大変ありがたく感じている」
「航空部隊は騒音の発生が避けられない一方、基地の安定運用は地元の理解と協力がないと成り立たない。訓練はしっかりやるが、騒音は必要最小限にしている。部隊にできる地域貢献もやっていく」
「東京五輪や新型コロナウイルス医療従事者の激励などの展示飛行を通して、ブルーインパルスの認知度が高まっている。ブルーは、市民に空自への関心を持ってもらい、活動を理解するきっかけをつくる存在。今後も安全を第一に任務を遂行していきたい」
-自身にとって松島勤務は4度目となる。
「前回、ブルーインパルス隊長として勤務時、東日本大震災を経験した。部隊はその日、展示飛行のため福岡県の基地に展開していたが、松島基地が津波で被災した。部隊の松島帰還までに2年近くを要した」
「震災直後はブルー隊員も一自衛官として被災地に入った。パイロットも隊長も、行方不明者の捜索活動やがれきの搬出など何でも全力でやった。ブルーが飛べるのも地域の理解と協力あってこそ。それをかみしめる機会になった」
-震災で被災した基地の防災対策の現状は。
「多くの航空機が津波で流された反省を踏まえ、格納庫や駐機場をかさ上げし、発電機などの設備を2階に移設するなどした。基地は災害時、救難活動や物資輸送の拠点、そして住民の避難場所になる。備えを万全にしていく」
「震災から13年が過ぎ、当時を知る隊員が少なくなった。年に数回実施する訓練の際に、震災を経験した隊員に体験を語ってもらうなど伝承に努めている」
-米軍戦闘機や空自の大型無人偵察機が相次いで松島に飛来し、基地機能強化につながるのではと不安を抱く市民もいる。
「基地の任務は、飛来してくる部隊をサポートすることなので、基地の在り方については答える立場にはないが、今後米軍訓練などがある際は、住民の不安解消に向けて出せる情報は出すようにしていく」
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