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反戦と平和、遺志引き継ぐ 石巻出身の俳優鈴鹿景子さんメモリアル公演 語り芝居復活

朗読する石川さん(右)。鈴鹿さんが愛用したピアノで伴奏する古賀さん

 石巻市出身の俳優鈴鹿景子さん(1955~2023年)が生前、ライフワークにしていた語り芝居「八月の蒼い空」が22日、俳優仲間によって古里・石巻でよみがえった。伴奏には鈴鹿さんが高校生まで愛用していたピアノが使われた。市民は鈴鹿さんが伝えようとしてきた戦争の悲惨さ、平和の尊さに思いを巡らした。

 語り芝居は、ピアノが保管されている春潮楼(中央2丁目)で昼と夜の2回行われた。東京を拠点にする俳優の杉本朋美さんと石川久美子さんが野坂昭如さん著「戦争童話集」の中から朗読した。2人とも鈴鹿さんと親交があり、石巻での公演に一役買った。鈴鹿さんが都内のアトリエで開いていた演劇ワークショップの生徒だった富田周一さんと市川洋子さんも駆けつけ、朗読を披露した。

 市川さんは「『感じ取って読みなさい』が最後の言葉だった。それを胸に朗読した」、石川さんは「あったかい方だった。恩返しのつもりで石巻公演に立たせてもらった」としのんだ。

 もう一つの主役が鈴鹿さんの思い出が詰まったピアノだった。東日本大震災の津波で鈴鹿さんの実家があった橋通りの空き地に野ざらしになっていたピアノを救い出したのが、春潮楼3代目でドラマーの佐久間令さん。語り芝居ではドラム演奏で参加した。

 古いピアノに新しい命を吹き込んだのがシンガー・ソングライターの古賀久士さん。朗読に合わせて作品に込められた反戦・平和を奏でた。古賀さんは「鈴鹿さんの思いを大事にし、未来は平和であることを願いながら弾いた」と語った。

 出演者はそれぞれ鈴鹿さんとの縁に導かれて石巻に集い、コロナ禍で中断していた「八月の蒼い空」を音楽と朗読で復活させた。

 湊地区から足を運んだ佐々木礼子さん(63)は「心にしみた」と感激した。

 鈴鹿景子事務所のプロデューサー鬼嶋英治さんは「感無量。皆さんの力で鈴鹿の遺志を引き継ぐことができた」と感謝した。

 鈴鹿さんは昨年7月18日に死去。「八月の蒼い空」は一周忌を機に「鈴鹿景子メモリアル・シアターライブ」と題して行われた。21日はホテル「FUTABA INN(フタバイン)」(住吉町1丁目)でもあった。

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