子育てと介護の縁側・今日も泣き笑い(4) 風が抜ける縁側 多世代の生活にゆとり
【石巻市・柴田礼華】
本コラムのタイトル中にもある「縁側」。家の中と外をゆるやかにつなぐ空間のイメージから、子育てと介護のはざま、家庭と社会との境界として、タイトルにも登場させてみました。
■和室と庭の間に
あれ、そもそも縁側ってなんだっけ? 調べてみたところ「伝統的な日本建築の庭先にあるもので、和室と庭の間に設けられた板張りの空間のこと」を言うそうです。私の同年代の友人、知人の周辺では、そもそも和室がないお宅の方が断然多いです。つまり、縁側を持たない世代ということですね。
これが義父や義母のお友達のお宅や、秋田の親戚、山口の実家やその親戚となると、かなりの確率で和室があり、縁側もある。完全なる縁側世代です。
わが家はどうかというと、夫が書斎代わりにしている仏間があり、そのそばに庭に接した廊下があります。どうやら縁側の条件をクリアしているようです。
■多様な人、出入り
この縁側、実にいろんな人が出入りします。子連れで遊びに来るお友達は、大荷物と子どもを抱えて玄関に回るのが大変なので縁側から入ってきます。ときにはご近所さんが野菜をおすそ分けにやってきます。母屋の隣には夫がアトリエとして使っている建物があり、アトリエと母屋の行き来はみんな玄関を使わず縁側から。義父の教員時代の教え子さんで、わが家の庭のお手入れをしてくれている方は作業の休憩時間、縁側に腰かけて義父と昔話や剣道話に花を咲かせます。
夕方になると義父が庭の植物に水やりに出て、以前は義母が洗濯物を干しに出たり、庭の草を取りに出たりしていました。
4歳の長女も1歳の次女も、縁側からお庭に遊びに出たり、お散歩に行ったりするのが大好き。今年の梅の花の時期は、4歳の娘が庭に面した廊下に小さいテーブルを運び(私や夫に運ばせて)、お昼ご飯を自分で運び、しょっちゅう花見をしていました。なんと風流な4歳児でしょう。
縁側があることで、わが家は物理的にも、精神的にも風通しがよくなっているような気がします。
そういえば、うちの実家の縁側ではひいおばあちゃんがいろんなものを干していました。お茶に入れるために干していたドクダミの葉っぱの匂いや、仏壇のお線香の匂いがよみがえります。
縁側がなくたって生活に支障を来すわけではないと思いますが、それがあることで暮らしに余白というか、ゆとりが生まれる不思議な空間。これも多世代が同時に暮らしているからこそ味わえるぜいたくかもしれません。
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