わいどローカル編集局 >前谷地(石巻市)
「わいどローカル編集局」は石巻地方の特定地域のニュースを集中発信します。19回目は「石巻市前谷地地区」です。
神社、地域を見守る心のよりどころ
■龍口神社 住民結ぶ春秋の祭り
江戸時代初め、農民の七右衛門が芝刈りのため登った龍ノ口山で休んでいたところ、夢枕に立った気品の高い老人から「龍神宮として祭れば、守り神となり幸福を授け、疫病を除き、安産を第一に守護する」とお告げがあった。龍口神社はこれを受けて創建されたとされる。五穀豊穣(ほうじょう)、安産、出世などに御利益があるとされ、住民のよりどころになっている。
神社はJR前谷地駅から北西約2キロの場所にあり、江合川に沿って進むと、目印になる看板や参道入り口の大鳥居が出てくる。
祭事の始まりは1645(正保2)年で、信仰が広まり、参拝者が多くなったことで春と秋の2度、例祭が行われるようになったという。
春の例大祭では女児がきらびやかな衣装をまとう稚児行列がある。今年4月の例祭では前谷地小5、6年生が郷土芸能のかさまつ太鼓を奉納した。9月にある秋の例大祭では男児による流鏑馬(やぶさめ)などで豊作を祝い、感謝を神々に伝える。
今年は辰年ということもあり、神社は「名前を多くの人にアピールして、地域内外関係なく足を運んでもらおう」と、鳥居の周辺や境内に50本ののぼりを設置。神社の名前や御利益を分かりやすく示した。
神社の二階堂芳正総代長(80)は「辰年だからか例年以上に初詣やどんと祭に来る人が多くてありがたい」と喜ぶが、地区は高齢化が進み、いずれは神社の存在を知らない世代も出てしまうと危惧する。
例祭については「子ども同士や住民同士がつながるきっかけになっているので、これからも続けていきたい」と話した。
■石神社 知る人ぞ知る達磨石
JR前谷地駅の北西1.5キロほどに鎮座している。用水路に沿った道路の脇に境内があり、鳥居をくぐって階段を上ると、高さ約2メートルの大きな「達磨(だるま)石」がある。その左脇にも小さな達磨石が存在し、正面から見ると子どもを抱きかかえる母親、横からだとダルマの姿に見えるという。
神社の鳥居前にある説明看板によると、1908年に龍口神社の管理下になったが、歴史があるということから名前をなくさず、そのままになっている。
元々は安産や戦時中の兵士の武運を願うために足を運ぶ住民が多かったが、現在は縁結びや学業成就を祈願するなど、地域の守り神として、住民らの心のよりどころになっているという。
龍口神社の会計を担う斎藤和男さん(76)は「知り合いが有名な大学に合格したり、良縁があったなど聞くことがある。ただ、知る人ぞ知るという場所で認知度が高くないので、今後注目されてたくさんの人に集まってほしい」と期待を寄せた。
パーラー山と田んぼ、スイーツで就労支援
障害のある人たちの就労支援を行っている石巻市前谷地のベーカリーカフェ「パーラー山と田んぼ」が8月から、パフェやフレンチトーストといったスイーツ類を充実させる。いずれのメニューもスタッフが考案したといい、同店は「たくさんの人に食べてほしい」と張り切っている。
同店は石巻グリーフサポート(石巻市)が運営する就労継続支援B型事業所で、精神、知的障害などがあるスタッフ約20人が働く。パンや菓子類を販売し、店内でも味わえる。
新たに提供するのは、季節のフルーツパフェ(1100円)、抹茶きな粉和風パフェ(同)、フレンチトーストデザートプレート(748円)など。いずれもスイーツ好きのスタッフらがインターネットで流行を調べるなどして、メニューを練り上げた。
グリーフサポート代表理事の木村直隆さん(50)によると「インスタグラムを参考に盛り付けにもこだわった」という。パンケーキの米粉は地元産。季節のフルーツのうちイチゴやブルーベリーも市内で収穫したものを使う。規格外で廃棄される果実を譲ってくれる農家もいて、フードロス削減にもつながっている。
「スタッフが自らメニューを考えただけに、お客さんにおいしく食べてもらうことは何よりの励みになる」と木村さん。各メニューは数量限定。その日のスタッフの出勤状況により、提供できないメニューもある。第1・3土曜と日曜定休。問い合わせは0225(25)6561。
遊楽館、スポーツ充実 楽しく健康に
2005年、風光明媚(めいび)な里山に開館した「遊楽館」。多目的ホール、生涯学習施設などからなる地域活動の拠点施設で、音楽や芸術といった文化活動の練習、発表の場として活用されている。アリーナやトレーニング施設、パークゴルフ場もあり、スポーツを通じた市民の交流が盛んだ。
通年で利用できる室内プールの指定管理は市スポーツ協会とミズノスポーツサービスが担う。プールは25メートルが6コース。滑り台やジェットバスがついたものも設置され、家族で楽しめる。通年で水温・室温を30度以上にしており、快適に利用できる。子どもと成人のスイミングスクールがあり、成人向けは脂肪燃焼やアクアビクスといったエクササイズを中心に行う。
「春は施設外の桜を楽しみながら泳げる。夏休みになると多くの子どもたちでにぎわう」と話すのは室内プールの畠山敏範支配人。近年はリハビリのために利用する高齢者も増えているという。
プールの運営以外にも、跳び箱、鉄棒、マット運動の教室や「走る・跳ぶ・投げる」を体験するヘキサスロンといった、子どもの苦手克服や基本的な運動を楽しく身に付けるさまざまな企画を展開。
5、6年前からは、忍者になり切りながら運動を楽しむ「ミズノ流忍者学校」と呼ばれるユニークな教室を定期的に実施する。忍者の修行をイメージした遊びを楽しみながら運動できるため、未就学児と小学生が集まる人気企画だ。
畠山支配人は「参加者のできた時の達成感もあるが、保護者からも『子どもが笑顔になり、自信を持ってくれている』と好評。遊楽館で運動したいと感じ、各世代が集える環境を整えたい」と意気込みを語った。
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今回は前谷地販売店と連携し、大谷佳祐、都築理の両記者が担当しました。次回は「石巻市和渕」です。「滔々と 私の大河」は休みました。
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