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子育てと介護の縁側・今日も泣き笑い(3) 食卓クライシス 「食べたい」思いを理解

おじいさんにバナナを食べさせてもらう次女
盛り付け方を工夫。レツさんがどうしたら食べやすくなるか、通っているデイサービスの職員さんに尋ねたところ「持ち上げやすい軽い器の中央にご飯を盛って、その周りにおかずを配置して『何時の方向に何のおかずがあります』と伝えています」とのことで、そのやり方を家でも取り入れました

【石巻市・柴田礼華】

 最近わが家の食卓がにぎやかです(困った意味で)。

 次女しお音1歳の自我の芽生えが目まぐるしく、食事の時間がひと苦労になってきました。3歳半離れた長女あま音のいわゆる赤ちゃん返りの影で、必要最低限しか泣かない、非常におとなしい0歳児時代を過ごしてきた彼女。1歳を過ぎて別名不機嫌病とも呼ばれる「突発性発疹」に罹患(りかん)した際、人格が変わったかと思うほどかんしゃくを起こし、「困ったら大声を出してアピールすれば周囲がなんとかしてくれる」という世の中のシステムに気付いたようです。

■成長し目離せず

 食卓脇に置いたテーブル付きベビーチェアに座り、他の家族の顔が見える位置でご飯を食べられるようにしているのですが、食事の途中でベビーチェアの座面に立ち上がったり、「自分で食べたい!」モードに入ると食事の介助をしている人が差し出すスプーンを引っつかんでぶん投げたり、茶わんもコップもひっくり返したりと、星一徹さながらの暴れっぷり。ひとときも目が離せません。

 そして、もう1人注意が必要なのが義母レツさん86歳。この数年、視力低下と認知症の進行で、食事を自分で取るのが少しずつ難しくなってきました。比較的手探りでも食べやすいご飯と汁物だけ先に食べきってしまい、残ったおかずを「しょっぱい」と言いながら食べられると、作った私も「ご飯と一緒に食べる味付けだから!」とつっこみたくなります。いくら止めても汁物ばかり食べるので、義父が汁わんをこっそり手の届かないところに置くと、手探りで探して「汁物がない」と不機嫌になってしまいます。

■嫁姑バトル勃発

 先日は長女のおやつに作ったポップコーンの残りをレツさんが夕飯前にむさぼり食べていたので、「食べ過ぎると具合悪くなるから、そろそろやめたほうがいいですよ」と止めたのが不満だったらしく、「あなたは何でもよくお分かりになっているのね」と嫌みが…。「心配して言ったのに、そんな風に言われたら一緒にいるのがつらいです」と私もむきになってしまい、するとレツさんも「一緒に住むのやめたほうがいいかもね」と来たものだから危うく別居の危機に陥りました。

 嫁姑バトルを横で見ていた義父はさぞハラハラしたことでしょう。なおレツさんの名誉のために申しますと、子どもより孫の年齢に近い私に対して、とても優しく、嫁いで15年、いわゆる嫁いびりなどは全くされたことがありません。感情の爆発は認知症の症状の一つだったと推測されます。

 いずれにせよ「食べ物のことで口出しされるのは、人として不快なものなのだな」と後になって冷えた頭で反省。「今度からはレツさんの前には適量のおやつを置くことにしよう」と傾向と対策を考えたのでした。

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