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「地元へ恩返し」 男子バレー日本代表・故藤井さんの夢実現 古川工高OBと東レ選手、小中学生に指導

李選手(右)と円陣を組んでトス練習をする参加者たち
藤井直伸さん
バレーボール教室を見守る藤井さんの(左から)母みちえさんと父俊光さん

 石巻市雄勝地区出身のバレーボール元日本代表で、昨年3月に31歳で病気で亡くなった藤井直伸さん。生前、チームメートや両親に語っていた「地元石巻にバレーで恩返しがしたい」という夢が1日、一つ実現した。母校の古川工高バレー部OBと、所属していたVリーグ東レが思いを引き継ぎ、バレー教室を開催。石巻の子どもたちにバレーの楽しさを伝えた。(相沢春花)

 藤井さんは同市大須中で競技を始め、古川工高から順大を経て東レ入り。2017年から代表に選ばれ、セッターとして2021年東京五輪でも活躍した。

 東京五輪前に藤井さんから夢について聞いていた古川工高OBの有志らが昨年夏、実行委員会を発足。約1年かけて準備を進め、東レと協力して教室開催にこぎ着けた。

 教室は市総合体育館であり、市内の小中学生約60人が参加。東レの李博選手と小野寺瑛輝選手、重藤トビアス赳選手ら5人が講師を務めた。古川工高と石巻工高の男子バレー部員計約40人が運営に協力した。

 参加者は、選手と一緒にレシーブやトスの練習、ボールを使ったゲームなどに取り組んだ。選手たちが手本としてプレーを披露すると、技術の高さに目を輝かせて見入っていた。

 同市蛇田中2年でバレー部のセッターを務める曽根大誠さん(14)は「藤井選手は東京五輪で石巻を盛り上げてくれた。今日学んだことを意識しながら練習し、藤井選手のようになりたい」と話した。

 藤井さんとともに東京五輪に出場し、名コンビと言われた李選手は「藤井の思いを地元の子どもたちに知ってもらうことができた。人一倍練習していた藤井のように、上を目指すなら練習量を増やして技術を磨いてほしい」と語った。今秋始まる新リーグ「SVリーグ」に向けては「藤井が残してくれた熱い思いを胸に、優勝を目指す」と意気込んだ。

 藤井さんの両親も教室の様子を見守った。父の俊光さん(64)=石巻市あゆみ野2丁目=は「息子の夢が実現し、感謝している。子どもたちには、息子のように自分の意思を貫き通せば夢がかなうことを知ってほしい」と話した。母のみちえさん(58)は、実家で夢を語っていた姿を鮮明に覚えているという。「息子がバレーから学んだ諦めない気持ちなどを、今後は地元雄勝で伝えていけるとうれしい」

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