石巻出身の俳優・波望さん、震災題材の舞台に出演 来年2月、東京で公演
東京を拠点にする石巻市出身の俳優波望(なみの)さん(27)=本名・西村尚さん=が、市中心部の立町商店街を題材にした舞台に出演する。帰省中の波望さんは立町大通りを歩くなど、東日本大震災後の街の空気感を作品世界に生かそうとリサーチに余念がない。
出演する舞台は「あの時、あの場所で~石巻立町商店街~」。Team曼荼羅(まんだら)ジャンキー(東京)による作品。立町商店街で洋食屋を営む主人公が震災で大切な人たちを失った時、ある奇跡が起きて時間が震災の前日に戻るという話。
波望さんは「私自身、震災の時、青葉中2年だった。津波で家を流失した。亡くなった友達もいる。一生忘れられない出来事」と振り返る。
石巻市女高(現・市桜坂高)3年の時、中瀬で野外公演した劇団どくんごとの出合いが演劇に進む決意をさせた。「震災後、たくさんの人に励まされてきたけど、笑わせようとしてくれる大人に出会ったのは役者さんが初めてだった」と演劇の力に引かれる。
都内の演劇専門学校で2年間学び、20歳で初舞台を踏む。昨年12月、東京・新宿の劇場でTeam曼荼羅ジャンキーに客演として主役を務めたのが「繋(つな)がる鼓動~12years later~」。3人の震災孤児が今を力強く生きる姿を描いた。今年3月10日に石巻市でも上演した。
それに続く作品が「あの時、あの場所で~石巻立町商店街~」。公演は来年2月、東京の阿佐ケ谷シアターシャインで行われる。両作品の脚本を書いたペ☆ヤングさん(本名・秋月昌広さん)も石巻出身という。
波望さんは「芝居で震災と向き合っていきたい。芝居を見て笑えるようになってほしい。『立町商店街』もいつか石巻で上演できたら」と語る。
今月15日まで滞在し、石巻川開き祭りなども見た。俳優として震災から13年がたった古里・石巻や市民の様子を肌で感じ取ろうと街じゅうを巡り歩く。
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