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いしのまき食探見 > モモ 甘み豊か 被災農地を活用

ずっしりと実ったモモの生育状況を確認する尾形さん
いちじくの里で栽培されたモモを使った「モモのフレッシュケーキ」

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

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 穏やかな潮風に乗り、ふんわり甘い香りが漂う。東松島市宮戸地区のモモが収穫の最盛期を迎えている。実った果実は淡いピンク色で農園を彩り、重さで枝は地面に付きそうなほど垂れ下がっていた。

 地元漁師8人でつくる奥松島果樹生産組合「いちじくの里」が栽培する。手がけるのは最も甘い「あかつき」、傷みにくい「まどか」、大きさと甘酸っぱさが特長の「くにか」の3品種。組合長の尾形善久さん(79)は「ここまで来るのが大変だった。一生懸命やってきてよかった」と話す。

 約80アールの果樹園は、東日本大震災の津波をかぶった田んぼを活用する。2015年に組合を設立し、翌年からモモの栽培を始めた。収量は年々伸び、今年は170本の木から昨年並みの約4万個を見込む。

 8月下旬までのシーズン中に15回ほど繰り返す消毒作業をはじめ、丹念な追肥や袋掛けに力を注ぐ。一人当たり約20本の木を、各組合員が責任を持って管理する体制も味の秘訣(ひけつ)だ。

 石巻青果花き地方卸売市場や地元スーパーなどに卸す。同市赤井の菓子店「お菓子の国パンジー」では、実の半分を大胆に使った「モモのフレッシュケーキ」として販売する。豊かな果汁を通して甘さが口いっぱいに広がり、カスタードがモモの味を一層引き立てる。1個をぺろりとたいらげた。(漢人薫平)

<メモ>
 モモは農園に隣接する直売所でも販売する。東松島市宮戸里81の18。3個入りは550円から、5~6個入りが1600円。 
 「モモのフレッシュケーキ」は1個600円。土日のみ限定4個の販売だが、予約(2個~)があれば個数の相談や平日の販売も受け付ける。連絡先はお菓子の国パンジー0225(83)2253。

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