おかえり!「ほやマン」 映画主演アフロさん、網地島再訪 海の家を盛り上げ
石巻市の網地島で撮影された映画「さよなら ほやマン」の主演を務めたアフロ=本名滝原勇斗=さん(36)が、海の家で働くという長年の夢を実現させようと、約1年ぶりに島を再訪した。共演した地元漁師の沢口佳伸さん(44)が開設する海の家で7日、一日限りのアルバイトとして汗を流した。観光客やファンとの交流も楽しみ、「島での思い出がどんどん深まった」と話した。
島内の網地白浜海水浴場で7日、沢口さんの海の家「ONE CHANCE」が今季初オープン。アフロさんは焼きそば調理やパラソルの貸し出しといった本格的な業務に打ち込んだ。市内外の観光客をはじめ、都内や青森県から訪れたファンにも笑顔でサービス。共演者の俳優黒崎煌代さん(22)もサプライズで登場し、浜の一角は活気に包まれた。
アフロさんは「この海を俺たちが盛り上げるんだという気持ちになった。沢口さんや漁師仲間の人たちと関わりができて、夢をかなえるきっかけをもらった」と喜びをかみしめた。
ラップとギターの2人組バンド「MOROHA」で人気を博し、2022年には武道館ライブを成功させた。出身は長野県。当時の内向的な性格も相まって、海とは縁遠い青春時代を送った。自身とは対照的に、陽気な人々が集う海の家に憧れを持ったのは、20代前半のころだった。
「海の家で働くのがずっと夢だったんです」。映画撮影時、自身が演じたアキラの父親役を務めた沢口さんに打ち明けた。漁師の演技指導をした際の熱心な姿勢や、カメラの外でも飾らない人柄にほれ込んだ沢口さんは快諾。今夏の実現にこぎ着けた。
沢口さんは「撮影が終わっても島に来てくれるなんて、ただうれしいの一言だ」と感激する。アフロさんは「撮影では忙しい時期の漁を休んでまで協力してもらい、本当の親子のように信念を語り合えた。そんな人が父親役だったから、こうして関係が続いている」と語る。
島での新たな「野望」も生まれた。網地島を会場にした「さよなら ほやマン」の上映会を開くことだ。アフロさんと住民の絆はこの夏、一層強く結ばれた。
<メモ>
映画「さよなら ほやマン」は石巻市出身の庄司輝秋監督が網地島で全編撮影した。東日本大震災で両親を失った漁師の兄弟が、東京から来た漫画家と送る奇妙な共同生活を描く。人生の選択や大切な人を亡くした経験と向き合う姿を表現し、映画初主演のアフロさんは第78回毎日映画コンクールで新人賞を受賞した。
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