台風5号 交通に影響、JR各線で運休相次ぐ 石巻市、避難所を開設
台風5号は12日、岩手県大船渡市付近に上陸し、東北地方を横断するように北西へ進み、石巻地方でも風雨が強まった。石巻市は台風接近を受けて避難所を開設。同日はJR各線が運休するなど、交通機関にも大きな影響が出た。
気象庁によると、12日午後5時時点の24時間降水量は、女川90.5ミリ、雄勝68ミリ、石巻44ミリ。石巻では同日午前10時22分に最大瞬間風速18.1メートルを観測した。市危機対策課によると、市内では倒木が県道や市道をふさぐ被害が計4件あった。けが人はなかった。
同市は台風の接近に先立ち11日午後5時、市内全域に「高齢者等避難」を発令し、26カ所に避難所を開設した。同課によると、最大時113人が身を寄せた。
このうち、マルホンまきあーとテラス(市複合文化施設)に避難した1人暮らしの70代無職女性=同市大森=は取材に「避難所に来れば誰かがいるので、一人でいるより心強い」と語った。2019年の台風19号で自宅が床上浸水したといい「(避難情報が出たら)すぐに避難すると決めている」という。
市は同日午後1時半、風雨が弱まったとして全ての避難所を閉鎖した。
■観光施設も客まばら
3連休とお盆が重なり、本来なら書き入れ時の観光施設も影響を受けた。石巻市の観光交流施設「いしのまき元気いちば」は同日、オープン時間を午前9時から午後3時に繰り下げた。千葉和芳店長は「安全確保を最優先しながら、帰省客のために雨が弱まった時間に開けた」と語った。
JR女川駅前のテナント型商店街「シーパルピア女川」や地元市場ハマテラスも客はまばらで、駅前商業エリアを運営する「女川みらい創造」の担当者は「悪天候にはかなわない」と残念そうだった。
同市の石ノ森萬画館、震災遺構「大川小」の大川震災伝承館、東松島市の震災復興伝承館などの施設は同日、臨時休館を決めた。女川町営温泉「女川温泉ゆぽっぽ」は設備にトラブルがあり、営業を取りやめた。
石巻市で11日予定していた「石巻ラグビーフェスティバル」「サマーフェスタ・イン・かほく」などのイベントも中止された。
JR東日本東北本部は12日、仙石東北ライン、仙石線東塩釜-石巻間、石巻線、気仙沼線の運転を夜まで見合わせた。石巻駅では同日午前、キャリーケースを持った外国人観光客が駅の案内板で初めて運休を知り、高速バス乗り場に向かう姿が見られた。離島航路の網地島ライン、シーパル女川汽船も同日、全便欠航した。
県は、11日に県道石巻雄勝線、12日に同牡鹿半島公園線(コバルトライン)をそれぞれ通行止めとした。
仙台管区気象台によると、13日の県内は曇りで、昼ごろから大気が不安定になり、雷を伴う雨になる所がある見通し。
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