被災地寄り添い活動10年 伝承と情報発信、東京の高校生有志にボランティア奨励賞
東京都内の私立高校生有志でつくる団体「(3.11)∞(さんてんいちいちむげんだい)実行委員会」が第18回SYDボランティア奨励賞(優秀賞)を受賞した。東日本大震災の被災地・被災者支援に取り組んで10年、石巻市など三陸地方を訪問するなど高校の枠を超えた支援活動が高く評価された。
SYDボランティア奨励賞は公益財団法人修養団(東京都)が2006年に設けた。ボランティア活動の分野で著しい活動を実践し、優れた業績を挙げたグループや個人を顕彰してきた。
受賞した「(3.11)∞実行委員会」は14年に頌栄女子学院、立教女学院、桐朋学園、都立産業技術高専4校の有志が中心となり立ち上げ、現在は先輩たちから引き継いだメンバー約20人が活動している。
毎年、石巻市や気仙沼市、岩手県内の被災地に足を運び、被災者に震災当時の状況や現在の状況を聞き取ってきた。収集した情報を有楽町駅前地下広場で都民に報告。同時に被災企業を支援するために販売活動に力を入れたり、防災グッズの紹介を通して災害時に役立つ情報を伝えたりしてきた。毎年冬に上野公園で行う「三陸なう」は震災を知らない世代に教訓を伝える貴重な機会となっている。
学校や教師の手を借りず高校生が企画・運営を手がけていることが特長で、微力ながらも被災地に寄り添った都内の高校生の活動が共感を呼んだ。
昨年に続き今年3月も震災遺構の大川小を訪れた頌栄女子学院高3年の堀江理咲さん(18)は「先輩たちからつないできた活動が認められうれしく、また誇らしい」と受賞を喜んだ上で「私は震災当時4歳。震災の記憶が残る最後の世代かも。その意味でも私たちは何があったかを伝えていかなくてはならない。それが誰かの命を救うかもしれない」と強調した。
進学希望の大学では被災地支援者に向けたメンタルケアシステムを構築したいという。堀江さんは「活動の中で三陸地方の素晴らしさをたくさん知った。今後も何らかの形で三陸地方と関わっていきたい」と語った。
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