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女川の今、見て触れて 産業と復興、夏の親子見学会

 女川町の東日本大震災からの復興状況を間近に見て、町の魅力を体感してもらう「石巻かほく 女川夏の親子見学会」(三陸河北新報社主催、東北電力協力)が7月上旬、町内であり、石巻、東松島両市の小学生と保護者計11組22人が参加した。かまぼこの手焼き体験や木製キーホルダー作り、東北電力女川原子力発電所構内の見学、女川湾でのクルージングを通して、豊かな自然と産業の現状を肌で感じた。

かまぼこ工場で手焼き体験、甘さに感動

竹串に刺したかまぼこを焼くと香ばしい匂いが漂った

 女川町浦宿浜のかまぼこ製造会社・高政女川本店「万石の里」では、笹かまぼこの製造工程を見学し、手焼きを体験した。

 工場ではスケトウダラを主原料としたすり身を金型に入れて形を整え、焼き炉でこんがり焼き上げる様子をガラス越しに見つめた。

 従業員からは「手焼きのような凹凸を表現し、プリプリとした食感に焼き上げている」「業界初のオール電化の工場で、生産量は県内2位」などと説明を受けた。

 手焼き体験では、竹串に刺した笹かまぼこを焼き網に並べると、熱で膨らみ始め、香ばしい匂いが立ち込めた。参加者は焼き上がる様子を興味深そうに眺め、出来たてのおいしさを味わった。

 石巻市向陽小2年の成沢こはるさん(7)は「いい匂いがして、甘くておいしい」と話し、笑顔でほおばっていた。

焼き上がったかまぼこを味わう親子

魚のキーホルダー作り、愛着の一品に

魚の形の木にやすりをかける参加者

 JR女川駅前の町まちなか交流館では、魚の形をした木製キーホルダー「onagawa fish(オナガワ フィッシュ)」作りで、最終工程のやすりがけに挑戦した。

 参加者は荒さの異なる2枚のサンドペーパーを使って、滑らかになるよう丁寧に仕上げた。災害時にも役立つよう、ホイッスルを取り付けて完成させた。

 キーホルダーは、まちづくり会社「onagawa factory(オナガワ ファクトリー)」が企画。震災で仕事を失った住民による商品づくりを模索する中で始まった。女川を象徴する魚の形と、木のぬくもりが土産品としての人気を呼んでいる。

 石巻市山下小1年の境康智さん(7)は「一生懸命こするのが楽しかった。ランドセルに付けたい」と話した。

完成したキーホルダー

女川原子力発電所・PRセンターを見学

原子炉の模型を見学し、原子力発電の仕組みを学ぶ子どもたち

 女川町塚浜の東北電力女川原子力発電所では、バスで構内を巡り、2号機の再稼働に向けて講じた安全対策工事の現場を見学した。参加者は海抜29メートル、全長約800メートルの防潮堤の大きさを実感。災害で常設設備が機能しなくなった場合を想定した多重の備えに関心を示していた。

 東北電力の担当者は、発電所構内で約4000人が働いていることや、震災直後、敷地内の体育館に地域の住民が避難したことなどを説明した。

 近くの高台にある女川原子力PRセンターでは、電気をつくる仕組みを模型で学んだ。手回し発電機の体験では、子どもたちがハンドルを懸命に回すと模型に明かりがともり、笑顔が広がった。

 石巻市二俣小4年の狩野ひなたさん(9)は「電気が自分の力で作れるのが楽しかったし、その大変さも知った。電気を大切にしたい」と話した。

手回し発電機で電気をつくり、模型に明かりをともした

湾内クルージング45分、ウミネコ餌付けも

ウミネコに餌をやり、歓声を上げる参加者

 女川湾のクルージングでは、湾内を45分かけてクルージングした。ホヤやホタテの養殖いかだなどの近くを進み、豊かな海を生かした産業を間近で感じた。

 金華山航路などを運航する「潮プランニング」の船で出航した。持田耕明社長が震災時の経験や、その後の町の変化を解説。「人口減少が著しいが、浜の住民が助け合いながら水産業を営んでいる」などと話した。年内の開通を目指す出島架橋も洋上から眺めた。

 湾内の船上ではウミネコの餌付けを体験。参加者が餌のエビせんべいを差し出すと、集まってきた多くのウミネコが器用にくわえ、親子が歓声を上げていた。

 餌やりを初めて体験した石巻市広渕小3年の斎藤寿哉さん(8)は「海の上は気持ちよかった。ウミネコがたくさん来てくれて楽しかった」と笑顔を見せた。

操舵室に興味津々

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