石巻に根付く文化を調査 東京工大院生・臼井さん、現地訪問 映画、音楽など聞き取り
「石巻地域に根付く文化」について調査している東京工大院生が2~11日、石巻市に滞在し、港町・石巻と映画文化について関係者に聞いて回った。東日本大震災が地域の文化にどのような変化をもたらしたか-に着目し、大学と同市を行き来しながら(1)映画(2)音楽(3)舞台芸術(4)顕彰・伝承-の4本を柱に調査を継続。来年2月ごろに修士論文にして発表する。
4月から石巻地域に根付く文化について調べているのは、東京工大真野研究室(真野洋介教授)修士課程=環境・社会理工学院建築学系都市・環境学コース=の臼井千尋さん(25)。
今回の滞在中、震災の津波で流失するまで中瀬の岡田劇場を拠点にしていたオカダプランニング(山下町2丁目)社長の菅原聖(きよと)さん(55)、街中での上映会に力を入れる石巻名画座代表の本庄雅之さん(65)らに会い、石巻と映画に関する興味深いエピソードを収集した。
臼井さんは「石巻には震災前まで、娯楽を市民に提供してきた岡田劇場があり、ほかにも個性的な館主がいて映画文化を育ててきた。震災後も、映画が好きな市民有志によって手作り上映会が形を変えて続いている」と関心を寄せる。映画以外にも、石巻地域の音楽活動に携わってきた市民を精力的に取材して回った。
真野研究室は震災直後から石巻市に学生を派遣。街の空間や市民意識の変化、市内外との関わりなどを調査してきた。旧観慶丸商店(中央3丁目)では街歩きマップを展示、活動成果を市民に発表した。
2021年4月から真野研究室のメンバーとして石巻と関わってきた臼井さんは「石巻にもともとある固有の文化をもっともっと探ってみたい。震災を機に市民の意識の中で、文化活動との関わり方がどのように変わったか、また人と人のつながりの変化も知りたい。これからも月1、2回のペースで石巻に通いたい」と意欲的だ。
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