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子育てと介護の縁側・今日も泣き笑い(8) 真夜中ホラー 語り合える存在、励みに

普段は左から夫、次女、私、長女の順に並んで寝ているのですが、いつの間にか夫の定位置に義母が寝ていたのでした(イラスト・柴田さん)
目が見えにくくなった義母のために、各部屋に文字とイラスト入りのドア表記を付けています。最近はそれも見えにくくなってきたようです

【石巻市・柴田礼華】

 ある寝苦しい夜。暑いので寝室のドアは開けっぱなしにして、リビングのエアコンをつけたまま寝ていました。

 午前1時過ぎ、次女が泣いて起きたので、授乳して寝かし付け。夫と長女は熟睡。子どもたちが寝静まっている隙に私は急いでトイレに向かいました。

■足元に誰かが…

 トイレがあちこち汚れているのに気付き、ひとまず掃除して、自分も用を足し、義理の両親の寝室へ。2人ともぐっすり眠っていましたが、義母に声を掛けて起こし、寝ているところ気の毒に思いつつ、パジャマや紙パンツをきれいなものに取り換え完了。やれやれ、これで安心して寝られると、子どもたちと夫が寝ている部屋に戻りました。

 朝5時ごろ、足先を誰かになでられる感覚で飛び起きました。足元にいたのは義母レツさん。ほとんど視力がなくなってきている義母はトイレに行った後、寝室への戻り方が分からなくなったらしく、手探りで行き場を探していた様子。義母の手を引いて、再度寝室へ。「どうもありがとね」と義母が布団に入るのを確認して、自分の寝室へ。

 なんだかどっと疲れ、その日の朝は8時まで寝坊してしまい、夫が朝ご飯も洗濯もみんな済ませてくれていました(わが家の朝の家事はだいたい夫がやっています)。

 また別の日。朝6時ごろ、長女がせき込む音で目が覚めました。体を起こして、長女の様子を確認すると、落ち着いてまた寝たようなので、私ももうちょっと寝ようとした瞬間、反対サイドからもせき込みが。あれ? この声は…またまたレツさん! 夫は早朝からアトリエに絵を描きに行っており、たまたま空いていた布団に、トイレから帰れなくなった義母がそのまま寝てしまっていたみたいです。肌掛け布団をきっちり巻いて、真っすぐあおむけで寝ている姿はさながらツタンカーメンのよう。あまりの寝相の良さに驚きです。「レツさん、ここは子どもたちの寝室ですよー」と声をかけ、手を引いて、義理の両親の部屋へ。

■思い、のみ込まず

 朝食の時、義父に事のいきさつを報告すると「トイレに行く時は起こすようにって言ってあるんだけど、迷惑かけてごめんね」としょんぼり。当のレツさんは「あら、なんでそっちに行っちゃったのかしら」ときょとんとした顔。「考えようによっては内孫2人と並んで寝られて幸せでしたね」と私。「おばあちゃん、おっとーの布団にいて面白かったー」と長女。「もはやコントだね」と夫。

 子育ても介護も家の中で起きていること。どんなに大変な思いをしても、何が起きたのか誰にも知られなければ、悶々(もんもん)とした思いをただぐっとのみ込むしかないわけです。「こんなことがあってね」とざっくばらんに語り合える存在がいることは大切だなと感じました。

 とはいえ、義母が深夜に迷って玄関や縁側から外に出てしまうと危険なので、早急に対策を練らねばなりません。いったんしまったベビーガードの出番かな。

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