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地域に適した陸上養殖へ 県水産技術総合センター研究棟が完成 石巻・渡波

県水産技術総合センター敷地内に完成した研究棟

 県が石巻市渡波の県水産技術総合センター敷地内に整備を進めていた「閉鎖循環式陸上養殖研究棟」が完成し、27日に現地で竣工(しゅんこう)式が開かれた。海洋環境の変化を受け、安定生産が見込めることで期待が高まる陸上養殖の手法を研究し、漁業者に技術や知見を提供する。

研究棟に設置されたギンザケの水槽。飼育水を浄化しながら循環利用する

 研究棟は木造平屋で延べ床面積約990平方メートル。稚魚用の小型水槽や親魚を飼育する中・大型水槽計27基を設置した。飼育水を浄化しながら循環利用する閉鎖循環システムを採用。自然環境や立地、魚種の制約を受けにくく、排水が少ないため環境負荷が小さいとされる。海水、淡水の両方に対応し、塩分濃度や水温を調節できる。

 当面は同センターが海面養殖や開発に関して実績があるギンザケとイワナの研究を進める。成長促進や採卵の試験などを行い、完全養殖や種苗生産技術の確立を目指す。今後はホシガレイなどの研究も検討する。

 2022年12月に着工し、今年4月に完成した。総事業費は約9億4800万円。

 県によると、今年3月から7月までの養殖ギンザケの県内の水揚げ量は1万3000トン、金額は97億円。海水温の上昇が稚魚の成育に影響し、23年同期の1万8000トン、125億円から減少した。

 竣工式には国や県、石巻地方2市1町の関係者ら約65人が出席。出席者がテープカットで完成を祝い、施設を見学した。

 県水産林政部の中村彰宏部長は「海洋環境の変化で水揚げ量が減少し、捕れる魚の種類も変わってきている。地域に適した陸上養殖のモデルを確立し、漁業者に提供したい。新たな魚種のニーズがあれば意見や要望を聞きながら施設を使って研究、技術開発を進めていきたい」と述べた。

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