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シカ接触事故や低利用魚、地域課題解決へ 石巻専修大・共創研究センターが活動報告

 地域活性化に向けて産学官が連携する石巻専修大の「共創研究センター」は4日、成果報告会を同大で開いた。地域課題の解決を目指して研究活動に取り組む教授ら7人が昨年度のプロジェクトの結果や今後の展望を発表した。

 理工学部の辻大和准教授は、ニホンジカと車の接触事故の発生要因について報告した。研究によると、2020年4月~23年3月に市内であった野生動物の接触事故死1777件のうち、ニホンジカは161件だった。学生と協力して事故が頻発する場所と少ない場所を分析。道路の形状や見通しの良しあし、周辺の植物の多さなどを比べた。

 調査の結果、事故の多かった地点は直線道路や幅が広い道で、ドライバーがスピードを出しやすい形状だった。ガードレールと反射板が少なく、シカが侵入しやすい環境だったことも要因の候補に挙げた。事故の多い場所の方が周辺の植物が少ない傾向にあり、シカのえさ場や移動経路になっている可能性を指摘した。

 辻准教授は「人間とシカ、周辺環境のうち、少なくとも一つをコントロールすることが対策になる」と提案。今後の研究について「事故の多い道路周辺の植物の種類やシカの具体的な行動を調べていく。何か対策を試みて、効果を検証していきたい」と話した。

 同学部の鈴木英勝教授は、石巻港で水揚げされながら、利用される機会が少ない魚の保存方法を紹介した。低利用魚を安定出荷するには一定量の保存が必要で、適正な冷凍温度や期間の知見を蓄積することが必要と提起した。

 イトヒキダラやオニヒゲといった低利用魚をマイナス18度とマイナス35度で1~9カ月冷凍した結果を報告。「低温であればあるほど長期保存が可能。マイナス18度まで冷やせる一般の冷凍庫もある。ゆくゆくは家庭でも低利用魚をおいしく食べてほしい」と語った。

 そのほか、市の地方創生RPGアプリ「キズナファンタジア」の活用やオリーブを餌に育てた「オリーブギンザケ」の開発、地元児童の生活習慣などについての研究発表があった。

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