被災した市中心部に「アートの灯」 石巻ブンカボックス、お披露目
石巻劇場芸術協会が石巻市中央1丁目に開設を目指した「石巻ブンカボックス」がほぼ完成し、7日にお披露目会があった。今後、食や芸術に携わる地域のクリエーターたちの活動を応援する場となる。隣接地には同協会が2022年にオープンさせたシアターキネマティカもあり、東日本大震災で被災した街にまた一つ「アートの灯」がともった。
施設は2階建てで延べ床面積は約75平方メートル。軒を並べていた二つの旧店舗を解体し一つにした。改修には牡鹿半島の木材やサン・ファン・バウティスタ号復元船解体時の廃材などを活用、石巻ならではの素材にこだわった。木の風合いを生かした新たな文化拠点は、1階が「食文化」をコンセプトにしたキッチン付きのチャレンジショップで、飲食店経営に関心がある人に貸し出す。2階は一部改修中だがギャラリーとして運用、地元アーティストの活動を後押しする。
改修に約1年半と予定よりかかったが、個人や団体、地元企業などの協力で生まれた施設だけに期待は大きく、お披露目会にはボランティアで改修に参加した市民や街の人たちが詰めかけた。同じ町内会という80代の女性は「震災後、街は暗かったが若い人たちの力で明るくなった。1人暮らしのお年寄りも楽しめる場所になってほしい」と願った。
4年前、石巻市に移住、ノマキデザイン代表として改修に関わった仙台市出身の草野源太さん(45)は「力を合わせて街に明かりをともしたい」と誓った。
シアターキネマティカに続く石巻ブンカボックスと複合的なアート空間づくりで、被災した街の再生を目指す同協会の矢口龍太さん(41)と阿部拓郎さん(36)は「かつてここは『文化通り』と呼ばれた。文化をキーワードに地域の人たちと一緒に盛り上げたい」と意欲を新たにした。
連絡先はkinema@r-ishinomaki.net
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