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夏の晴れ舞台、飛躍への糧に 全国大会出場の4選手、目標新た 石巻地方

 8月に開かれた各種スポーツの全国大会で、石巻地方の中高生がそれぞれの高みを目指し日頃の練習の成果を発揮した。結果を受け止め、次の目標に向け決意を新たにした4選手を紹介する。

ボート・男子ダブルスカル

決勝レースに挑む(左から)阿部選手と鈴木選手

<0.02秒僅差で準Vつかむ>

 長崎県諫早市で8月9~12日に行われた全国高校総合体育大会(インターハイ)のボート競技・男子ダブルスカルで、石巻高3年鈴木伯史(はいじ)選手・阿部瑠聖(りゅうせい)選手が準優勝を果たした。

 予選から選抜大会優勝チームと対戦。約1秒差で1位通過し、準々決勝、準決勝、決勝まで駒を進めていった。

 6艇で競った決勝はこれまでのレースと違い、逆風が斜めから吹き付けた。不利な状況に出遅れ、中盤も先頭との距離が縮まらなかった。レースを組み立てる阿部選手は「プランでは追い付いているはずだったが、ゴールまで半分を切った地点で3、4番手だった。試合前に伯史と話した通り、いつもより速い段階でラストスパートを仕掛けた」と振り返る。レース終盤、先頭集団に追い付き、3位に数センチ、0.02秒差でゴールした。

 昨年までかじ付きクォドルプルで出場していた2人は、12月ごろに力をより発揮できるダブルスカルへ転向した。こぐ時のオールの高さや入水の角度など息を合わせるのに苦労し、船はなかなか安定しなかったが、全国制覇の目標が2人の気持ちを一つにした。新人戦や県大会では優勝し、3月の全国選抜大会でも2位に輝いた。

 2人は「インターハイでは優勝できなかったが、レースに3年間積み上げてきたものを全て出し切った。悔いはない」と語る。

 互いに別々の大学に進学予定で、阿部選手は「高校では全国優勝できなかったので、大学ではリベンジしたい」。鈴木選手は「大学ではさらに上を目指して戦いたい」とライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)していく。

陸上・男子800メートル走

県駅伝大会に向けて練習する阿部選手(左)

<初出場で自己新、実力発揮>

 8月17~20日に福井市であった全日本中学校陸上競技選手権大会に、矢本二中3年阿部陽真(はるま)選手が初出場。800メートル走で自己記録を更新した。決勝には進めなかったが、1人で走り込み、努力を続けた成果を出すことができた。

 全国大会は予選17組に分かれ、決勝に進む8人を選ぶ。13組に入った自身は多くの強豪選手の走りを見たが、緊張せず、自分のペースでレースに臨んだ。1周目は先頭に食らいついたが、ラストスパートの残り200メートル地点でトップに付いて行けなくなった。結果は組2位で予選敗退。それでも1分58秒77と自己ベストを更新した。

 中学に入って陸上を始め、1、2年生の時は1500メートルをメインに各種大会に出場。県大会を突破するまでに力を付けた。東北大会では1年時に7位、3年時で3位入賞を果たした。

 「冬に走り込めば速くなる」。先輩の言葉に背中を押され、レース終盤でもつらくならないよう持久力を付ける特訓を続けた。部活動と自主練を合わせて、ほぼ毎日約10キロを走った。

 7月に仙台市であった記録会で、1500メートルと同じ中距離種目の800メートルに挑戦。最後のラスト1周、全国大会出場の標準記録(2分00秒50)を切れそうだった。足に力を入れた。タイムは1分59秒34。堂々の優勝でつかんだ全国の切符だった。

 現在は10月にある県駅伝大会に向けて仲間とともに練習する。「初めての全国大会でも練習通り力を発揮できた。次の大会も、高校、大学でも上を目指し続けたい」と意気込んでいる。

柔道・女子52キロ級

スポ少の稽古で技を極め続ける菊地さん(左)

<3年連続出場、初ベスト8>

 8月20~23日に長野県佐久市で行われた全国中学校柔道大会に、万石浦中3年菊地咲笑(さえ)選手が3年連続で出場した。小学1年からこれまで県内で負けなしという実力を発揮。初めて初戦を突破すると、ベスト8まで勝ち上がる活躍を見せた。夢の全国優勝には届かなかったものの、高校での目標を新たにし、練習に励んでいる。

 渡波柔道スポーツ少年団に所属。部活にスポ少、自主練と毎日欠かさず自分を鍛え続けてきた。ジムでの筋力トレーニングでは増量。中学生最後の全国大会は、階級を48キロから52キロに上げて挑んだ。1、2年時は初戦敗退が続いただけに「今年こそ」と力が込もった。

 初戦の2回戦は、緊張で技が出せなかったというが相手の指導負けに救われた。勝利を実感した半面、一本で勝つ理想を達成できていない悔しさも味わった。3回戦も勝ったものの、自分の追い求めるパターンには遠かった。

 準々決勝では「楽しくやろう」と気持ちを切り替えて相手に立ち向かった。結果は攻めて入った技を掛け返され、一本負け。それでも、攻めていく自分の柔道を見つけることができたのが収穫だった。

 「負けたのはもちろん悔しいが、勝ち進む楽しさを知ることができた。高校では絶対にインターハイで優勝し、日本一になる」と意気込む。

 現在は部活を引退し、渡波柔道の練習に顔を出す。後輩や同級生らの胸を借りながら、得意技の内股をに磨きをかける。「これからの大会では緊張せず、立派に畳に立てる選手になりたい」と鍛錬を続けている。

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